2008 Fiscal Year Annual Research Report
FD-LC-MS/MS法の臨床プロテオミクスへの展開:C型肝炎モデルマウスへの適用
Project/Area Number |
19890230
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
一番ヶ瀬 智子 Musashino University, 薬学研究所, 助教 (40453956)
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Keywords | プロテオーム解析 / 高速液体クロマトグラフィー / プロテオーム解析用発蛍光試薬 / DAABD-C1 / 蛍光誘導体化反応 / FD-LC-MS / MS法 / ディファレンシャル解析 / C型肝炎モデルマウス |
Research Abstract |
平成20年度は、当研究室で開発したプロテオーム解析法(FD-LC-MS/MS法)の血液試料への応用性を検討するため、前年度肝臓中のプロテオーム解析で使用したマウスの血液試料を対象に用いた。合わせて、前年度に得られたバイオマーカーの候補タンパク質(106種類)の有用性を考察することを目的とし、下記2つの実験を行い、結果を得た。 1.バイオマーカー候補タンパク質検出のための分離条件再構築 候補タンパク質を迅速に検出するための分離条件を再構築した。前年度に構築した網羅解析の条件では分離に10時間を要したが、再構築した条件では2時間以内に候補タンパク質を分析することが可能となった。 2.血液試料への応用 上記条件を基に、FD-LC-MS/MS法を血漿試料へ応用した。その結果、血漿中に大過剰に存在するタンパク質ピークの妨害により、候補タンパク質を検出することができなかった。そこで、血漿プロテオミクスの分野で最も汎用性の高い市販の抗体カラムで上記妨害成分を取り除く前処理法の導入を試みた。FD-LC-MS/MS法を用いてその使用を検討したところ、除去対象物であるアルブミンのカラムへの吸着がカラム使用回数に比例して減少すること、更に、非特異的吸着が18.3-45.9%存在することを発見し、定量的な解析が困難であることが示唆された。そこで、研究テーマを“定量的血漿プロテオミクスにおけるアルブミン除去カラムの使用評価"に変更し、詳しく解析した。その結果、血漿成分中の疎水性物質が抗体カラムの充填剤表面へ吸着し、抗体カラム使用限度回数より以前に抗体による特異的吸着から疎水性相互作用による吸着へと変化することが分かった。 以上のように、バイオマーカー候補タンパク質の有用性を考察することはできなかったが、血漿プロテオミクスにおいて多用されるアルブミン除去カラムの安易な使用への警告を世界に発信ことができた。
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