2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890236
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田村 幸子 Kanazawa Medical University, 看護学部, 教授 (50454228)
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Keywords | 経験 / 母親 / 生体ドナー / 腎移植 |
Research Abstract |
研究の全体構想である「生体移植ドナーのケアモデル開発」の初段階として、ドナーの経験について、ドナー自身の意味づけから明らかにする必要性があると考える。既に母子間生体肝移植ドナーの経験は明らかにしており、本研究では生体腎移植ドナーの経験を明らかにする目的で、生体腎移植においてドナーとなった母親20名を参加者に半構成面接を実施し、ドナーの体験を自由に語ってもらい逐語録を作成し、質的・帰納的に分析した。経験に見出された共通の概念は【自分はさておき】であった。移植の決定では【わが子を助けたい一心で決めた移植】が見出され、〔元気にしてあげたい〕〔普通の生活をさせてあげたい〕〔透析から開放してあげたい〕〔自由に食べて飲めるようにしてあげたい〕で構成され、母親の望みを託すも決定に至る相応の判断過程がみられず特有であった。提供者の決定では【はじめから母親がと決めた提供】が見出され、〔こんな身体にしたのは私のせい〕〔健康に産めなかった責任〕〔母親の提供が暗黙の前提〕〔夫には仕事がある〕〔兄弟は将来のある身〕で構成され、母親の自責・負責から自分の提供を決意し危機過程がみられず特有であった。提供の手術では【わが子だけに注目した手術体験】が見出され、〔子どものことを思えば怖くはない〕〔渡す腎臓がうまく合ってほしい〕〔あの子の元気な姿が一番〕〔しんどいは言えないことば〕で構成され、母親も手術を受けながら病人役割がみられず特有であった。肝移植および腎移植の母子間生体移植におけるドナーの経験においては、共通の概念【自分はさておき】は同一であり、移植の各時期に見出されたカテゴリは相似していた。このことより、母子間生体ドナーのケア方法は肝移植、腎移植に共通して使用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)