2007 Fiscal Year Annual Research Report
心室伝導障害治療向けた心線維芽細胞における電位伝導機能解析
Project/Area Number |
19890237
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
波多野 紀行 Aichi Gakuin University, 薬学部, 講師 (50454319)
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Keywords | 心線維芽細胞 / 電気生理学 / カルシウムイオン / 心不全 / 不整脈 / イオンチャネル |
Research Abstract |
研究計画に記したように、平成19年度は心線維芽細胞のイオンチャネル・トランスポーター発現プロファイルを明らかにすることを目標に研究を進行させた。昨年までに神経液性因子であるATPや生体内活性物質であるスフィンゴシン1リン酸が心線維芽細胞の細胞内Ca2+濃度を上昇させ、クロライド電流を惹起することを見出していたが、今年度はアンギオテンシンIIを始めとするいくつかの生理活性ペプチドが細胞内Ca2+濃度を上昇させることを見出した。また、ATPによる細胞内Ca2+濃度上昇に関して、より詳細なメカニズム解析を行った結果、ATP誘発細胞内Ca2+濃度上昇にはIP3を介したERからのCa2+遊離とTRPを介した細胞外からのCa2+流入の二つの経路があることを明らかにした。一過性の細胞内Ca2+濃度上昇にはERからのCa2+遊離が寄与し、持続的な細胞内Ca2+濃度上昇には細胞外からのCa2+流入が寄与していた。心線維芽細胞の細胞内Ca2+動態に関する知見は非常に少なく、今回の結果は大きな意義があると考えられる。また、この研究をさらに進めていくことで、心線維芽細胞における細胞内Ca2+濃度上昇と分化・増殖の関係が解明されると期待される。今後は細胞外からのCa2+流入に関与するTRPサブタイプの同定を行う予定である。また、分子生物学的手法を用いた発現解析に関しても早急に進めていく予定である。 電気生理学的手法を用いた解析では、短期培養心線維芽細胞にパッチクランプ法を適用し、心線維芽細胞の静止膜電位に寄与すると考えられるK+電流の測定およびイオンチャネル種の同定を行った。短期培養した心線維芽細胞の多くは外向きK+電流が発現しており、このK+電流は4-AP感受性成分とTEA感受性成分に大別できた。また、内向きK+電流に関してはほとんどの細胞で観察できなかった。
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