2007 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトのエンドセリン受容体を標的とした脳浮腫治療薬の開発
Project/Area Number |
19890245
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Research Institution | Otani Womens University |
Principal Investigator |
田中 一裕 Otani Womens University, 薬学部, 助教 (80454586)
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Keywords | エンドセリン / アストロサイト / アクアポリン / 脳浮腫 |
Research Abstract |
本研究では、脳病態時におけるエンドセリンの役割について、脳浮腫関与因子の一つであるアクアポリン(AQP)の発現および機能変化について着目して研究を進めており、平成19年度では以下の知見が得られた。 1.定量的RT-PCR法により、培養ラットアストロサイトにおいてAQP3とAQP9はほとんど発現が認められないが、AQP1とAQP4のmRNAは多く発現していることが示された。 2.これらのAQPファミリーは初代培養ニューロンおよびミクログリアで発現がほとんど認められなかった。 3.エンドセリンをアストロサイトに処置するとAQP4のmRNA発現量が減少した。一方で同じ濃度のエンドセリンはAQP1のmRNA発現量に変化を与えなかった。 4.さらにエンドセリンによりAQP4の蛋白量が減少することをウエスタンブロット法により確認した。 5.ラットの脳内にエンドセリンETB受容体アゴニストを投与すると大脳皮質においてAQP4mRNAの発現量が減少した。他の脳領域で大きな変化はみられなかった。また、AQP9についてはどの脳領域においてもエンドセリンによる変化はなかった。 6.組織化学的な検討から、ラット大脳においてAQP4が発現する細胞はニューロンではなくアストロサイトであることが示された。 以上の結果を日本薬理学会で発表した。さらにエンドセリンの作用を追求していく中で以下の知見が得られた。 7.エンドセリンをアストロサイトに処置するとstromelysin-1のmRNA発現量が増加した。一方で同じ濃度のエンドセリンはstromelysin-2と-3のmRNA発現量に変化を与えなかった。 8.アストロサイトにおいてエンドセリンがstromelysin-1の分泌を促進した。 9.各種阻害剤併用実験からこれらの作用はカルシウムやPKC、ERKを介したものであることが示唆された。 以上の結果を論文発表した。
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Research Products
(2 results)