2007 Fiscal Year Annual Research Report
フロセミドによるゲンタマイシン誘導性腎障害の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19890246
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Research Institution | Otani Womens University |
Principal Investigator |
山形 雅代 Otani Womens University, 薬学部, 講師 (50454583)
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Keywords | 抗生物質 / 臓器障害 |
Research Abstract |
ゲンタマイシンに代表されるアミノグリコシド系抗生物質には、重要な副作用として腎障害と難聴がある。この副作用のうち、腎障害はフロセミドの併用により増強されることが知られている。この相互作用による腎障害増悪化のメカニズムを解明するために、フロセミドによりメガリンの発現が変化しないかどうか検討した。ブタ腎尿細管上皮細胞株LLC-PK1細胞にフロセミドを0、5、50、500uM添加し、6時間後の細胞より抽出したRNAを用いてRT-PCRを行なったところ、フロセミドの添加濃度依存的にメガリンの発現が増加した。次に、マウスにフロセミドを50あるいは250mg/kgで単回投与し、3もしくは6時間後、腎臓を摘出した。摘出した腎臓よりRNAを抽出し、RT-PCRを行なったところ、メガリンの発現に差は認められなかった。培養細胞を用いた実験では、フロセミドによりメガリンの発現が誘導されたので、in vivoの実験では、投与方法、投与回数、作用時間等を検討し直す必要があると思われた。ゲンタマイシンは、メガリンにより腎近位尿細管細胞に取り込まれることが知られており、フロセミドが、メガリンの発現を調節し、ゲンタマイシンの細胞内取り込みを調節していることが示唆される。つまりフロセミドが、メガリンの発現を誘導する因子の一つとして考えられる。しかしながら、現段階では、細胞レベルでの発現誘導なので、生体においてもフロセミドがメガリンの発現を誘導するかどうか、またフロセミドによりメガリンの機能がどのように変化すか確認する必要がある。
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