2008 Fiscal Year Annual Research Report
フロセミドによるゲンタマイシン誘導性腎障害の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19890246
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Research Institution | Otani Womens University |
Principal Investigator |
山形 雅代 Otani Womens University, 薬学部, 講師 (50454583)
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Keywords | 抗生物質 / 臓器障害 |
Research Abstract |
アミノグリコシド系抗生物質の一つであるゲンタマイシン(GM)の投与により、副作用として、腎障害が発生する。この腎障害は、利尿薬のフロセミドとの併用により増強することが知られている。この腎障害増強に関わる分子メカニズムを明らかとするために、マウスにフロセミド、GM、あるいはその両方を投与し、腎組織の変化を観察した。C57BL6、雄マウスにフロセミドを100mg/kgで単回腹腔内投与し、2あるいは4時間後腎臓を摘出した。対照群は生理食塩水を腹腔内投与した。摘出した腎臓は、一部は凍結切片を作成用に凍結し、残りは、RNA抽出用に凍結保存をした。フロセミド単回投与群の腎切片を用いて抗メガリン抗体を用いた免疫染色を行ったところ、対照群では染色の認められない腎髄質外層内帯あるいは内層に存在する尿細管の一部に染色を認めた。腎皮質部分から抽出したRNAを用いてメガリンの発現を見たところ、対処群と差は認めなかった。次に、GM150mg/kgを1日1回腹腔内投与で4日間投与したマウス、あるいはGM投与3日よりフロセミド(100mg/kg1日1回腹腔内投与)を同時投与したマウスより、腎臓を摘出し凍結切片用に包埋し、残りは、RNA抽出用に凍結保存をした。GM投与2日目より半数のマウスでBUNが上昇が認められた。しかし、フロセミド併用によりBUNがさらに上昇することはなく、投与計画を検討しなおす必要が認められた。GM投与によりBUNの上昇した個体においては、メガリンの発現が免疫染色、PCRともに減少していた。BUNが対照群と同程度の個体は、メガリンの発現も変化していなかった。これらのことより、フロセミドによりin vivoでもメガリンの発現上昇が示唆されたが、GM投与により減少したメガリン量がフロセミドにより増加するかどうかは明らかとならなかった。
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