2008 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシン誘導アポトーシスにおける細胞内情報伝達経路の同定、治療法確立への試み
Project/Area Number |
19890250
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
矢口 貴博 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (30434947)
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Keywords | アデノシン / アポトーシス / AMPK |
Research Abstract |
肝癌細胞HuH-7細胞をアデノシン処理するとアポトーシスを誘導する。現在までにアデノシンがc-FLIP発現減少を促し、Caspase-8/caspase-3の活性化を介してアポトーシスを誘導することを明らかにしてきた。本研究では、AMPKを介した経路について考察する。アデノシン単独処理とAMPKの活性化剤AICAR処理とアデノシン同時処理との間の細胞死に変化がないことより、アデノシンはAMPKの活性化を介してアポトーシスを誘導していることが判明した。アデノシンはAMPに変換された後、AMPKの活性化を介して、ミトコンドリアの膜電位の低下を誘導していることが明らかとなった。AMPKのドミナントネガティブ体を過剰発現させた後、アデノシン処理をしてもミトコンドリア膜電位が低下しないことから、ミトコンドリアの膜電位低下にはAMPKの活性化が必要である。またミトコンドリア膜電位の保持に重要な役割を果たすBcl-2ファミリーの一つであるBcl-XLの発現に着目してみると、アデノシン処理により発現減少が認められた。そこで、Bcl-XLがAMPKによって直接リン酸化をうけるのかについて検討を行った。現在は、4カ所あるといわれるリン酸化部位それぞれにポイントミューテーションを入れたBcl-XLを作製し、HuH-7細胞に過剰発現させたときのミトコンドリア膜電位低下についての考察を行う。 アデノシン誘導アポトーシスの際の細胞内情報伝達経路が同定できれば、今後の癌治療法の確立が加速するものと思われる。
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