2007 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当細胞のアスベスト曝露と腫瘍進展メカニズムの解析
Project/Area Number |
19890253
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
村上 周子 Kawasaki Medical School, 医学部, 助教 (50454848)
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Keywords | アスベスト / 細胞増殖 / 転写因子 / アポトーシス |
Research Abstract |
アスベスト(石綿)曝露を原因とする石綿肺には合併する肺癌や悪性中皮腫の発症が知られている。アスベストは珪酸塩であり,珪酸曝露により自己免疫疾患が引き起こされることから,アスベスト曝露においても腫瘍免疫の減衰を含む免疫系への影響が考えられる。研究代表者の研究室において,(1)ヒトポリクローナルリンパ球MT-2株(MT-2 Org)は,アスベストの一種であるchrysotile-Bによりアポトーシスが誘導されること,(2)しかしながらMT-2 Orgを低濃度のアスベスト存在下で長期間培養することによりアポトーシスに耐性を示すこと,(3)このようにして樹立したアスベスト誘導アポトーシス抵抗性亜株(MT-2 Rst)は,アスベスト繊維による刺激を受けた後,Src family kinaseを介してIL-10産生が促進され,さらにIL-10のオートクリン的なシグナリングによりSSTAT3のリン酸化,Bcl-2発現の亢進を介してアポトーシス抵抗性を獲得することを明らかにしている。本研究では,MT-2 Rstのアスベスト誘導アポトーシス耐性メカニズムをさらに解析することを目的として,その細胞増殖能および転写制御について検討した。その結果,MT-2 RstはMT-2 Orgと比較して細胞増殖および細胞周期に軽度の遅延が起こることが示された。また,MT-2 Rstにおける核内のNF-KB発現は有意に低くなった。IL-10およびSTAT-3はNF-KB発現を抑制することが報告されていることから,MT-2 RstにおけるNF-kB発現はIL-10の産生亢進ならびにSTAT3のリン酸化によって抑制された可能性が考えられる。
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