2007 Fiscal Year Annual Research Report
アエロモナスのセリンプロテアーゼの成熟化過程におけるカルボキシ末端領域の役割
Project/Area Number |
19890254
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小林 秀丈 Hiroshima International University, 薬学部, 助教 (70441574)
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Keywords | アエロモナス / セリンプロテアーゼ / 成熟化 / 微生物 / 毒素 / 酵素 |
Research Abstract |
下痢症や皮膚炎の原因となるAeromonas sobriaの産生するセリンプロテアーゼ(ASP)は本菌感染症の主要な病原因子である。ASPの成熟化はシャペロン蛋白質であるORF2 proteinの作用を介して行われる。本研究課題はASPのカルボキシ末端領域に注目し,その成熟化機構における役割の解明を目指したものである。本年度はASPのカルボキシ末端領域とORF2 proteinとの相互作用解析を行う目的で,1.Peptide display法によるORF2 protein相互作用ペプチド配列のスクリーニング2.ASPのカルボキシ末端領域の欠損による,ASPの活性に及ぼす影響について検討を行った。その結果,以下の知見を得た。 1.Peptide display法によりORF2 proteinと相互作用するペプチド配列を選抜し,ASPのアミノ酸配列と比較した。その結果,選抜された29種類のペプチド配列の内8種類がASPの546〜624位のアミノ酸配列と類似していた。この事は,ASPの546〜624位の領域がORF2 proteinとの相互作用部位である事を示唆している。 2.ASPの543位以降のアミノ酸を欠損する様な変異ASP遺伝子を作製し,大腸菌に導入し菌の産生するプロテアーゼ活性を測定した。その結果,野生型のASPを産生する菌と異なり,変異ASPを産生する菌ではプロテアーゼ活性が認められなかった。以上の結果から,変異ASPはORF2 proteinとの相互作用ができなくなったために活性化が阻害されたもと考えられ,ASPのカルボキシ末端領域はASPの活性化に重要である事が裏付けられた。本研究成果は細菌の産生する毒素であるASPの成熟化機構の全貌を明らかにする為の足がかりになると考えている。来年度はASPとORF2 proteinとの相互作用について免疫沈降法を用いて検出する事を試みる予定である。
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