2008 Fiscal Year Annual Research Report
アエロモナスのセリンプロテアーゼの成熟化過程におけるカルボキシ末端領域の役割
Project/Area Number |
19890254
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
小林 秀丈 Hiroshima International University, 薬学部, 助教 (70441574)
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Keywords | アエロモナス / セリンプロテアーゼ / 成熟化 / 細菌 / 毒素 / 酵素 |
Research Abstract |
Aeromonas sobriaが産生する菌体外セリンプロテアーゼ(ASP)は本菌感染症の主要な病原因子である。ASPはシャペロン蛋白質(ORF2)の作用を受け成熟体になる事がわかっている。本研究課題はASPの成熟化機構の解明を目指したものである。昨年度、ASPのC末端領域がORF2との相互作用部位である事を示唆させる解析結果を得た。そこで、本年度はASPのC末端領域がORF2との相互作用部位である事を証明する目的で、1.C末端領域の欠損したASPとORF2との相互作用をpull-down assayで検出を試みた、2.ORF2との相互作用に重要なASPの595位Hisについて他のアミノ酸残基に置換した変異体を作製して解析した。その結果、以下の知見を得た。 1.C末端領域が欠損したASPとORF2にHisタグを付加した蛋白質をin vitro蛋白合成キットで合成し解析に用いた。相互作用はNi-sepharoseを用いたpull-down assayで検出を行った。その結果、ASPのC末端から6個のアミノ酸残基を欠損させた場合、ORF2との相互作用が検出されなかった事から、このアミノ酸残基(His595)はORF2との相互作用に重要である事が明らかになった。 2.ORF2との相互作用に重要なHis595を種々のアミノ酸残基に置換したASPを作製しORF2との相互作用に及ぼす影響について解析を行った。その結果、His595をAsp, Cys, Proに置換したASPではORF2との相互作用が検出されず、プロテアーゼ活性も検出されなかった。一方、Ala, Arg, Asn, Phe, Thrに置換したASPではORF2との相互作用が検出されたが、AlaとPheに置換したASPのプロテアーゼ活性は野生型ASPと比較して著しく低い事がわかった。これらの結果より、His595はORF2との相互作用に重要であり、また相互作用後の活性構造構築にも関与している事が示唆された。本研究成果は細菌の産生する毒素であるASPの成熟化機構の全貌解明を目指したものであり、本菌感染症の新たな治療や予防方法を提案するものと考えている。
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