Research Abstract |
終末期看護の実践において,死と向き合った上でのケアや患者を看取る家族に対する支援は難しく,特に一般病棟においては十分に実践されていない現状にあることから,一般病棟における末期がん患者と家族のQOL向上のためのケアの検討は緊急の課題となっている。 そこで,平成19年度は,1)患者を看取る家族支援を目的とした看取りケアの実施状況を測定する尺度の信頼性と妥当性の検討,2)看取りケアに影響する要因の検討,3)エキスパートナースに対する面接調査と分析を目的に下記の計画を実施し,一部を学会で発表した。 1.看取りケア尺度の信頼性と妥当性の検討:内的整合性,安定性の検討から尺度の信頼性を確認し,基準関連妥当性,構成概念妥当性の検討から尺度の妥当性を確認し,看取りケア尺度が実用可能な尺度であることが示唆された。この結果を,第27回日本看護科学学会(2007)で発表した。 2.看取りケアに影響する要因の検討:関連要因の特定に先立って,看護師の属性や,終末期看護、家族看護に対する関心度などによる,看取りケア得点の比較検討を実施した。その結果,臨床経験年数,終末期看護、家族看護に関する関心度,知識の程度などがケアに影響していることが示唆された。 3.エキスパートナースに対する面接調査:終末期看護領域におけるエキスパートナースである,がん看護専門看護師1名,緩和ケア認定看護師1名に対し,看取りケアの実践に関与する要因について面接調査を実施した。得られたデータは質的に分析し,カテゴリーに分類する作業を継続している。今後は面接対象者を増やし,看取りケアに関与する因子の抽出を目指し,抽出した因子,看取りケア尺度,既存尺度などを組み合わせた質問紙を作成し,看護師に対する質問紙調査の実施を検討している。
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