2007 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性癌の克服を目指した新規機能性リポソームの開発
Project/Area Number |
19890258
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
跡部 一孝 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 助教 (00454885)
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Keywords | DDS / リポソーム / 癌化学療法 / 耐性癌 |
Research Abstract |
薬物封入ターゲットリポソームは,標的とする分子に結合し内在化することで,または細胞表面において徐々に薬物を放出することによって標的とする細胞に選択的に薬物を送達させるキャリアーとして広く用いられている。またカチオニック脂質を含有するリポソームは,細胞表面と電荷的な相互作用し,膜融合によって遺伝子やsiRNAなどを細胞内に送達できるベクターとして広く用いられている。そこで,薬物封入ターゲットリポソームにカチオニック脂質を含ませることによって,ターゲットリポソームがもつ「送達能」によって標的細胞に薬物を送達させ,カチオニックリポソームがもつ「膜融合能」により,より早く内封する薬物を放出させることにより,高い殺細胞効果を有する新規送達キャリアーの確立を目指した。 当該期間において目的とする薬物封入ターゲットカチオニックリポソームの調整に関する検討した。その結果,PEG修飾無しでは,カチオニック脂質の含量と比例して細胞への結合性の増加が認められた。また内封する抗癌剤(ドキソルビシン)は,カチオニック脂質非含有時とことなり,速やかに作用部位である核に集積することが明らかとなった。一方,PEG修飾を行った場合は,細胞への結合性に若干の低下が認められ,また薬物の核への集積も確認できなかった。次いで,封入薬物の安定性について検討を行った。結果,カチオニック脂質の有無に関わらず薬物の封入量および放出性に影響がないことが明らかとなった。さらに本リポソームの細胞内動態について検討を行った。その結果,カチオニック脂質の有無に係らず,抗体を介して細胞に結合後,内在化し,ライソゾームに集積することが明らかとなった。現在,上記リポソームの癌細胞および耐性癌細胞への殺細胞効果について検討しているところである。
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