2007 Fiscal Year Annual Research Report
出血性ショック時の肺障害における炎症性サイトカインの役割と法医診断への応用
Project/Area Number |
19890263
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
佐藤 寛晃 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 産業医学基礎研究医員 (50441845)
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Keywords | TNF-α / IL-1β / neutrophil / inflammation / lung dysfunction |
Research Abstract |
全身麻酔下のラットの総頚動脈にカテーテルを挿入して20分間で全血液量の25%を出血させる出血性ショックモデルを作製し,経時的に動脈圧と心拍数を計測した。炎症性サイトカインのうち早期から強く発現が認められるpro-inflammatory cytokineであるTumor Necrosis Factor(TNF)-αおよびInterleukin(IL)-1βについて,出血1時間後,3時間後,5時間後に肺実質および肺静脈血を採取して測定した。また,各時間において急性肺傷害のマーカーであるLDH-3の血清中濃度の変化から肺傷害の有無を,動脈血ガス測定により呼吸機能を分析して,さらに炎症性サイトカイン発現阻害剤投与群についても同様に分析し,出血性ショック後の肺における炎症反応と肺障害の関係について検討を行った。 非投与群では,出血により平均動脈圧は出血前105±6mmHgから出血後36±3mmHgへと低下したが,徐々に昇圧し出血60分後では一旦出血前に回復して,以後継続的に低下した。心拍数も同様の経過をたどった。肺実質中のTNF-αmRNAの発現は出血1時間後に,IL-1βmRNAの発現は3時間後に最も増加し,肺静脈血液中の炎症性サイトカイン濃度も同様の経過を示した。また,出血5時間後には血清中LDH-3濃度の上昇を認めて肺傷害が確認され,動脈血ガス測定において呼吸機能の悪化を認めた。しかし,阻害剤投与群では,非投与群と同様に血圧と心拍数の低下が生じたが,炎症性サイトカインの発現とその後の肺傷害や呼吸機能の悪化は認められなかった。このことから,出血による血流減少というストレスが肺実質内で炎症性サイトカインの発現を促し,炎症反応を介した肺傷害が発生して,呼吸機能の悪化が生じると推測された。
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