2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890272
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊集院 良祐 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子プローブ設計創薬研究チーム, 研究員 (40442925)
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Keywords | 一酸化窒素合成酵素 / 陽電子画像診断法 / PET / ポジトロン / クロスカップリング / 高速化学反応 / 酵素阻害剤 / 神経因性疼痛 |
Research Abstract |
一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase;NOS)は生体内において、アルギニンを基質として様々な生理活性を示す一酸化窒素(NO)を産生する酵素である。NOSによるNOの過剰産生、あるいは不足など異常が起きた場合に様々な疾患を誘発する場合がある。その疾患の一例として、NOの過剰産生による痛みの伝達がある。申請者は痛みの度合いをPETにより定量化し痛みの程度を数値的に把握し診断に役立てることを目的とし、NOSの可視化を行うためにPETプローブの開発を行うこととした。本年度は昨年度に引き続きプローブ前駆体の合成および反応の検討を行った。PETプローブの構造としてはアミノ酸とヘテロ芳香環および高速メチル化に対応したピナコールボランを分子内に持つ化合物を設計した。設計したPETプローブ前駆体はパラジウム(Pd)を用いたクロスカップリング反応を用いて標識化を行うものであるが、分子内に窒素原子を持つ化合物では触媒のPdが配位するために反応の阻害が予測された。そのために、所属研究室でいくつかの条件検討を行うことにより高速化学反応に適応可能な条件を見出した。さらに、[^<11>C]ヨウ化メチルと芳香環等のsp^2-sp^3反応では標識可能な分子が限定されるために、さらなる応用を求め放射性条件下でsp^3-sp^3反応の検討も行った。反応収率は60%前後と従来型の高速化学メチル化と比較して高くはないものの、実際のPETプローブに適応可能な反応条件を見出し、実際の放射条件下での反応に成功した。これらの反応条件は、今後様々な高速化学反応において様々な基質に対して応用が可能と考えられ、PRTプローブ化の範囲を広げるものである。
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Research Products
(3 results)