2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19890275
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
三原田 賢一 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞材料開発室, 基礎科学特別研究員 (40455366)
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Keywords | 赤血球 / 脱核 / 輸血用血液 / MEDEP / Subtraction assay / 臍帯血 / GDI / mDia |
Research Abstract |
近年日本国内においても輸血用血液が不足している背景から、献血に頼らない輸血用赤血球の供給法が模索されている。現在は主に臍帯血や骨髄中に含まれる造血幹細胞から成熟赤血球を増殖・分化誘導する方法や、ES細胞及びiPS細胞から赤血球若しくは赤芽球系の前駆細胞(株)を作製する方法などが検討されており、我々も当該手法の確立に尽力し、成果を報告してきた。一方で成熟赤血球を作製するために最も重要な点は、赤血球分化のクライマックスとも言うべき「脱核」を確実に誘導することであり、脱核によって遺伝情報を完全に欠失する事はがん化のリスクが無いなど培養細胞を臨床応用する上で大きなアドバンテージともなっている。しかしこの脱核のメカニズムは未だ解明されておらず、実行遺伝子が同定されていないため培養条件の改良により脱核効率を改善するしか方法がない。そこで本研究では初代培養細胞及び当研究室により樹立された赤血球前駆細胞株を用いて脱核に直接的に関与している遺伝子の同定及び解析を目指した。本年度は、昨年度に検討した赤血球細胞の詳細な分画に従い、マウス細胞を用いてこれを分取したものと、前述のES細胞由来赤血球前駆細胞株(MEDEP)を用いてSubtraction Assayを行った。MEDEPは脱核能を有するが限定的であり、培養条件での脱核は非常に少ないため、初代培養細胞と遺伝子発現の差異を調べることで実行遺伝子が同定できるのではないかと考えた。実験の結果、初代培養細胞特異的に発現していると思われる遺伝子として5つ、MEDEP特異的に発現していると思われる遺伝子として4つが見つかった。その中でMEDEP特異的に発現している遺伝子として挙がってきたGDI-betaは、近年(トリガーではないが)脱核に必須な遺伝子とされるmDiaなどが含まれるRhoシグナルに関与する遺伝子であった。今後は各遺伝子の詳細な解析が期待される。
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