2008 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場MRI、MRSを利用した、抗癌剤投与後の精巣障害予防技術の開発
Project/Area Number |
19890281
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
山口 雅之 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 機能診断開発部, 室長 (90450577)
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Keywords | 癌 / 動物 / MRI / MRS / 精巣 |
Research Abstract |
3 Tesla高磁場全身用MRI装置に適合する高感度信号受信コイル(平成19年度本研究課題にて開発)の特性を詳細に評価し、コイル部分から遠位ほど受信信号が低く、得られるMRI画像に信号不均一性が生ずると判明した。一方、ラジオ波送信磁場は均等分布を示した。このコイル特性に基づき、画像信号不均一性を改良する手法を開発した。さらに、コイルの回路構成に改良を加え、その結果信号受信感度が大幅に改善した。この改良型コイルにより、ラット精細管をはじめとして、小動物および微小病理組織検体のMR Microscopy(MRM)の画質が飛躍的に向上した。精巣以外においてもラット頚動脈、マウス坐骨神経、マウス実験腫瘍といった微小被写体の高精細画像観測にもこれを応用し、大きな成果を挙げた。 抗癌剤投与後の造精障害モデルでは、雄性ラットにドキソルビシンを静脈投与し、MRMを撮像した。投与前と比較して投与後においてMRM上、一部の精細管に径の狭小化が認められた。これらは、摘出組織のex vivo MRM画像および病理組織切片にて造精障害に陥った精細管であると確定診断された。逆に、MRM上、精細管壁と内腔が正常所見を示した場合、組織上、精細管内腔に精子細胞が残存していた。この結果は、抗癌剤投与後の造精障害評価のためにin vivo MRM技術が有用であることを示している。MRSでは、正常精巣にてコリン、クレアチンピークの描出に成功したものの、全身用装置に備え付けの静磁場補正機構が、微小被写体の測定に最適化できず、MRS測定に極めて重要な局所磁場均一性の向上が達成されなかった。その結果、抗癌剤投与後の精巣内の代謝物計測には現状の装置と技術では改善すべき点が多いと判明した。
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