2007 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン症状を自然発症するTUBG2欠損マウスの解析
Project/Area Number |
19890283
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Research Institution | Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences |
Principal Investigator |
久保 亜紀子 Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences, 研究部門・分子加齢医学研究グループ, 特別研究員 (50455573)
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Keywords | 脳神経疾患 / 病理学 / 老化 / 神経科学 / プロテオーム |
Research Abstract |
本年度は、パーキンソン病の発症と深い関係があると考えられているTUBG2蛋白質と神経細胞の細胞質で複合体を形成している蛋白質の分離同定をおこなった。 最初にTUBG2蛋白質を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをヌードマウスの腹腔内に接種し、腹水中に大量に分泌されるモノクローナル抗体を回収した。次に、その抗体をプロテインAビーズに共有結合させて抗体ビーズを作成し、マウス新鮮脳から得た細胞質分画から免疫沈降法によってTUBG2を含む複合体を単離した。 単離できた複合体は、SDS〜PAGEで分離し、トリプシン消化したのち、質量分析法によって同定を行った。その結果TUBG2と共沈する5種類の蛋白質を同定することができた。そのうち2つはgamma-tubulinと複合体を形成する事がすでに知られている中心体構成蛋白質のGCP2とGCP3であった。新たに同定された3種類の蛋白質のうち、蛋白質Aは神経終末においてシナプス小胞のリサイクリングにかかわる蛋白質として知られているものであった。また、蛋白質Bはミトコンドリア外膜の分裂にかかわっているものである。蛋白質Cは抑制性神経伝達物質の受容体の裏打ち蛋白質と知られているものだった。 Gamma-tubulinの神経における機能は今までまったく報告がなく不明であったが、今回の結果により、シナプス伝達やミトコンドリアの分裂に関与する可能性が示唆された。来年度に、さらに詳しい機能解析を行うことで、パーキンソン病の発症機構の一端を明らかにすることが出来ると考えている。
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