2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然科学分析による中世の環境変動の解明と農耕変遷の究明
Project/Area Number |
19900110
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
金原 正明 Nara University of Education, 教育学部, 准教授 (10335466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 明彦 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (70324952)
長友 恒人 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (80031582)
高橋 学 立命館大学, 文学部, 教授 (80236322)
植田 信太郎 東京大学, 理学研究科, 教授 (20143357)
斉藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (30192587)
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Keywords | 農耕 / ソバ / 二次林 / DNA分析 / 山地開発 / 中世都市遺跡 / 焼畑 / 地形解析 |
Research Abstract |
平野部の農耕の変化として、河内平野や奈良盆地等の分析調査を行ってきたが、11 世紀から12 世紀に画期がみられ、水田の集約化、ソバに代表され、ムギ類、豆類などの畑作の盛行、落葉広葉樹(コナラなど)、照葉樹(アラカシやシイ類)、マツ属複維管束亜属(生態上アカマツ)の二次林の増加が段階的に認められ、特に平野部におけるソバ栽培と、大型のイネ果実(炭化米)の出土が顕著になり陸稲としてまた悪環境の低湿地の水田で栽培可能な品種の伝播が特徴的に認められた。これらの時期には山地の開発と農耕も顕著となり、京都巨椋池や奥能登の花粉分析から、照葉樹(アラカシやシイ類)、落葉広葉樹(コナラなど)、マツ属複維管束亜属(生態上アカマツ)の二次林の段階的な変化とソバ栽培が認められ、山地部の比較的深部まで、焼畑を伴うソバや雑穀類などの畑作と製炭や窯業や製鉄経営による変化が段階的に明らかになった。中世大友府内町遺跡や名護屋城跡など中世都市遺跡の環境と機能を絵図資料の検討を含め行い、汚水の停滞する状況などが復原された。また東アジアでは、杭州湾周辺等の分析から上部のニヨウマツ類の増加する海外における中世の植生変遷の一端が明らかになった。DNA分析では、炭化米クロロプラストゲノムの全塩基配列決定を行い、数理解析による評価によって、古代栽培種から現代栽培種への変遷の過程でイネゲノムにどのような変化が生じてきたのかを明らかにするための解析基本データを収集した。また地形解析からみた中世の自然環境の検討・研究では、大陸と日本列島との交易や土地開発に関する基礎データ集積を行った。
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Research Products
(3 results)