2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic study on metal chalcogenides catalyzed water splitting for efficient hydrogen production
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19F18346
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野田 優 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50312997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SENGENI ANANTHARAJ 早稲田大学, 理工学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水電解 / 電気化学触媒 / 遷移金属カルコゲナイド / カーボンナノチューブ電極 / 水素発生反応 / 酸素発生反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属の水酸化物およびカルコゲナイドを中心に、水電解触媒の最新の研究成果を調査しレビュー論文の執筆・発表を進めた。ニッケルは水素被毒のため水素発生活性が低いが、そのカルコゲナイドは酸およびアルカリの両方で高い水素発生活性を示す。その作用機構と触媒表面の化学変化の重要性を議論、硫化物・セレン化物・テルル化物の活性・選択性・安定性を比較し、今後の研究開発の方向性を示す総説を発表した。また、化学組成に加え結晶構造も水電解活性に大きな影響を持ち、特にアモルファスが結晶よりも高い活性を示す触媒が多数報告されている。多数の触媒材料の既往研究を調査、電解液の触媒内部へのアクセス容易性と電気化学活性表面積の高さ、構造の再構成の容易性と欠陥密度の高さなどその作用機構を議論、今後の研究開発の方向性を示す総説を発表した。 これらの調査研究をもとにポイントを絞った実験研究も推進した。遷移金属カルコゲナイドは酸素発生反応にも多用されるが、その際はプレ触媒であり、実際には酸化された状態で作用する。CoSe2のアルカリ水電解での酸素発生反応を検討、CoSe2調整時に事前酸化することで活性を大きく向上できることを見出した。また、金属フォームは電極触媒の三次元化に有効であり、銅フォームおよびニッケルフォームの電気化学的処理による触媒形成と水電解の検討を進めている。加えて、カーボンナノチューブ(CNT)の柔軟で良導電性なスポンジ状自立膜を三次元電極とし、その表面にNi(OH)2を電着した触媒の開発も進めている。本Ni(OH)2-CNT複合体は電気化学キャパシタ向けに開発していたものであるが、アルカリ水電解におけるニッケル触媒の実際の化学状態はNi(OH)2であることに着目し転用した。微量のFe添加により酸素発生活性が大きく上がることが知られており、現在、電解槽でのin situ Fe添加の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究提案時と比べ先行研究の調査と解析が大きく進み、ポイントを絞った実験研究が可能となった。2019年度に総説を4報、原著論文を5報投稿し、総説2報がハイインパクトジャーナルに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
ベース金属(M)の電解液中でのin situ処理により、金属表面に形成されるMOOHが触媒作用に非常に重要な作用を示すことが明らかになってきた。金属箔を用いた前処理およびin situ処理の検討を継続し、触媒活性を向上するとともにその作用機構を解明する。また、金属フォーム(孔径数100 um)を用いた電極の三次元化の検討を継続する。さらにCNTスポンジ状膜(孔径数10 nm)を用いると電極表面積を数1000倍に拡大できるため、CNTスポンジ状膜への触媒担持へと繋げる。電極を三次元化すると、低過電圧で高電流密度を実現できるはずだが、電極間のイオン拡散抵抗低減と、生成する水素および酸素の気泡の除去が重要になると予測される。そこで電極間距離を短縮し、水素と酸素を電解液の流れで回収する膜電極接合体を設計・試作し評価する。
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