2019 Fiscal Year Annual Research Report
日本古写経・敦煌文献と一切経音義との対照から見た漢訳仏典の用語に関する基礎的研究
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19F19008
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Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
落合 俊典 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10123431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI NAIQI 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 一切経音義 / 日本古写経 / 敦煌文献 / 漢訳仏典 / 玄応 / 宮廷写経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は玄応撰『一切経音義』の祖本を復元して確定すること、ならびにその確定した祖本と日本古写経や敦煌文献と対照して相違する漢訳仏典の用語を考察するものである。以下、研究実績の概要を述べる。 1、『一切経音義』原本調査:2019年4月、大阪天野山金剛寺蔵『一切経音義』残巻、2019年8月、京都興聖寺蔵『一切経音義』古写本、2019年12月名古屋七寺蔵『一切経音義』残巻を調査した。この中、古写本の書写形式や増訂省略などを考察して、古写本成立の特徴について指摘を行った。 2、日本古写経原本調査:2019年3月、2019年9月高山寺蔵古写経、2019年8月、2020年2月和歌山県立博物館蔵小川八幡神社大般若経を調査した。古写経の料紙や異体字などを考察した。 3、日本古写経・敦煌文献を調査した上で、『一切経音義』古写本と対照させ、日本古写経等で使われている漢訳仏典の用語・見出し語・用字などの相違を解明することが可能となった。それらの実証的な事例に基づき、仏典の伝播・変遷を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関する内容は『一切経音義』日本古写本、日本古写経、敦煌文献との照合である。以下、進捗状況を述べる。 1、『一切経音義』日本古写本:『一切経音義』古写本に関する調査をし、電子テキスト化を続けている。研究成果の公表は『Journal of the Faculty of Humanities and Human Sciences』と『デジタル学術空間の作り方 仏教学から提起する次世代人文学のモデル』に論文として公刊した。また、国際仏教学大学院大学公開研究会(2019年5月、東京)、日本印度学仏教学会第70回学術大会(2019年9月、京都)、訓点語学会(2019年11月)などで発表した。 2、日本古写経、敦煌文献との照合:『一切経音義』から経文用字を抽出し、日本古写経、敦煌文献と照合した。研究成果は『国際仏教学大学院大学研究紀要』に論文として公刊した。また、日本古辞書研究講演会(2019年8月、札幌)、世界漢字学会第七回年会(2019年9月、京都)、第十三屆漢文佛典語言學國際研討會(2019年11月、桂林)などで口頭発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の基礎資料としての十種類の『一切経音義』の日本古写本を調査し、それらの校訂・考察を行う。さらに未着手であった日本古写経・敦煌文献の関連部分を調査する。これらの研究結果をまとめ、論文公刊を進める。研究成果は日本印度学仏教学会第71回学術大会(2019年7月、東京)、仏典言語学国際学術研討会等、国内外の学会で発表する計画である。それによって得られた知見を盛り込んだ論文を執筆し、学術誌へ投稿する。さらに、国内外の出版社から書籍出版を目指す。
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Research Products
(9 results)