2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Scope of National Regulatory Autonomy in International Investment Law
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19F19009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中谷 和弘 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (60164216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SO HONGBUM 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | WTO法 / 国際投資仲裁 / 国際経済法 / 規制権限 / right to regulate |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「国際投資法における国内規制権限の範囲についての研究」を遂行するために、2019年度は、広範な判例資料及び学術資料に基づき、基礎的研究を行った。 国際投資法における国家の「規制権限」をWTO法との比較の観点から検討するという本研究の趣旨に照らして、第1に、比較検討の対象となる国際投資法とWTO法の中でも特に国家の国内規制権限と密接に関連する実体的義務条項を取り上げ、それらが具体的にどのような規範構造を有し、それぞれのフォーラムにおいてどのように解釈されているかを概観した。国際投資法に関しては、主に無差別原則、収用及び補償に関する原則、公正かつ衡平な待遇原則などの主要原則を取り上げ、これらの原則の下で正当な規制目的を踏まえた国家の規制権限がどのように保障・解釈されているかを、判例の動向を中心に検討した。特に、収用の該当性と関連してよく取り上げられる、いわゆる「ポリスパワー理論」に注目し、同理論の適用と国家の規制権限との関係を考察した。他方、WTO法に関しては、特にガット、TBT協定、SPS協定及GATS上の実体的義務条項を取り上げ、WTO紛争処理機関(パネル及び上級委員会)が展開する解釈基準の発展動向を検討することにより、正当な規制目的を踏まえた国家の規制権限がどのように保障されているかを確認した。 第2に、国家の規制権限又は政策的な裁量の保障という観点から、国際投資仲裁及びWTO紛争処理の文脈で司法機関が用いる「審査基準(standard of review)」に注目した。特に、WTO法の紛争処理において、SPS協定の解釈との関連で「審査基準」の法理が発展を重ねてきたことを確認した。WTO法における「審査基準」の法理の発展は、国際投資仲裁にも有用な示唆を提供できると期待される。 2019年度の研究を通じて得られた成果に基づき、引き続き、研究課題を推進していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題は当初の計画通りに進展している。2019年度の研究実績は、研究分担者(SO HONGBUM)によって学術論文として刊行されるほか、学会において報告・発表される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究を土台にして、今後も当初の計画通りに研究を推進していく計画である。本研究課題の結果を学術論文として公開するほか、研究大会など学会において報告・発表する計画である。
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Research Products
(1 results)