2019 Fiscal Year Annual Research Report
融合的な手法に基づく星間方向族炭化水素の性質の理解
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19F19029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
左近 樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70451820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BURAGOHAIN MRIDUSMITA 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 星間ダスト / DFT / 多環式芳香族炭化水素 / 重水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子化学計算に基づく理論的な星間有機物分子の研究において活躍する外国人特別研究員(研究分担者)が、その見知を受入研究者(研究代表者)が提供する観測天文学および実験天文学の研究基盤に融合させ、宇宙に普遍的に存在する大型の有機物である星間芳香族炭化水素の性質を調べる研究を実施してきた。これまでの共同研究を踏まえつつ、理論、実験、観測の融合的な研究手法に基づき、(1) 星間芳香族炭化水素の重水素含有量に対して定量的な見知を得ること、(2) 星間芳香族炭化水素の窒素含有量およびその化学結合状態に見知を得る事、の2つの研究テーマに焦点をあて、研究を遂行している。2019年度は、外国人特別研究員が量子化学計算を用いた手法を実施できるよう、ガウシアン(既存)をインストールした高速計算に対応したワークステーションを導入するなど、環境整備の充足をはかった。また、2019年9月には星間物質に関する国際研究会"CELEBRATING THE FIRST 40 YEARS OF ALEXANDER TIELENS’ CONTRIBUTION TO SCIENCE:THE PHYSICS AND CHEMISTRY OF THE ISM."に参加し、本研究の成果を含む発表を行った。また、(1)に関連して、鎖状構造を持つ多環式芳香族炭化水素の赤外放射に対する影響を調べ、重水素混入の影響について、Density functional theory (DFT)に基づく計算結果を、Buragohain et al. 2020, "DFT Study on Interstellar PAH Molecules with Aliphatic Side Groups", ApJ, 892, 11として得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、鎖状構造を持つ多環式芳香族炭化水素の赤外放射に対する影響について研究を実施し、外国人特別研究員を筆頭著者とするBuragohain et al. 2020, "DFT Study on Interstellar PAH Molecules with Aliphatic Side Groups", ApJ, 892, 11の受理に至った。2020年2月以降、たまたま一時帰国をしていたタイミングで、COVID-19の影響を考慮し、JSPS担当部署との連絡を取り合った上で、リモートでの研究遂行を継続している。これに伴う不具合が2020年度開始時より発生することが予測されるが、連絡を取り合いながら研究遂行に努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年6月時点で、日本への再入国が可能になった時点で、最短での日本への再入国を行い、既存の観測データ(すばる望遠鏡中間赤外線観測装置、赤外線天文衛星あかりで取得した未同定赤外バンドの赤外線スペクトル)や、既存の集積した実験室データ(窒素含有炭素質物質の赤外スペクトル)と、鎖状構造を有する多環式芳香族炭化水素や、重水素および窒素の混入の影響について調べた量子理論計算結果の比較研究を実施する。
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Research Products
(6 results)