2019 Fiscal Year Annual Research Report
Alternating peptides-based tough and viscoelastic adhesive materials for healthcare applications
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19F19038
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
小山 靖人 富山県立大学, 工学部, 准教授 (10456262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IHSAN ABU BIN 富山県立大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ペプチド交互共重合体 / 定序配列ポリマー / 粘弾性 / 天然模倣材料 / 刺激応答性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では最近我々が開発したペプチド交互共重合体の合成法に沿って、粘弾性ポリペプチド分子の合成と特性評価を実施する。グリシンとフェニルアラニンの交互共重合体をリード化合物として用いる。その物性値を参照値としながら、各種誘導体を合成し、最適な物性を持つポリマー接着剤を得る。重合は3成分重縮合であり、各成分を変えるだけで容易に最適化が達成できるものと考えられる。ポリマー単独での熱物性、機械的物性の評価の後で、無機及び生体材料における接着性を評価する。本年度は主に以下の点について検討した。 ①粘弾性材料の開発と特性評価:先行してすでに剪断応力駆動型の接着性を示すユニークなポリペプチド骨格を見出している。構造と力学物性の相関性を評価し、研究成果を論文として発表した。②温度応答性材料の開発と特性評価:天然の構造タンパク質であるエラスチンの機能を参考にし、水溶性且つ熱応答性を示すペプチド交互共重合体を創製した。ノルウェーのスタヴァンゲル大学のKelland教授と国際共同研究を実施し、速度論的なハイドレート形成阻害剤としての性能を評価した。③複合材料の創製:前項で得られたエラスチン模倣型人工ポリマーと天然のコラーゲンとを混合し、人工皮膚の創製を行った。ポリマー自身の 応力応答性・熱応答性と材料のの応力応答性・温度依存性との相関を評価し、力学特性を任意に制御した強靭な材料の創製を目指して検討を進めている。 また④理研の沼田ERATOプロジェクトとの共同研究を実施し、ペプチド交互共重合体の生分解性についても評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた各種項目の検討を順調進めたほか、研究計画の時点では全く予想していなかった新材料として、剪断応力で接着力が顕著に強化する糖鎖型接着剤を見出し、その構造因子の解明についての研究を進めることができた。構造材料のみならず、水中での温度応答性に関しても評価・論文発表を進めたところ、ノルウェーのKelland教授から国際共同研究のお誘いを受け、速度論なハイドレート阻害剤の研究を進めることにもなった。また理研の沼田ERATOプロジェクトにもサンプルを提供し、生分解性についての評価を終えた。論文成果は1年で8報受理まで至り、本にも掲載され、また国内外の学会において4件の招待講演も実施した。本年度では論文投稿できなかったが、合成エラスチンとコラーゲンとの複合材料で、非常にタフな人工皮膚の創製にも成功しており、当初の計画を越えた大きな成果が得られていると判断するため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が開発したペプチド交互共重合体の合成法に沿って、粘弾性ポリペプチド分子の合成と特性評価を引き続き検討する。グリシンとフェニルアラニンの交互共重合体をリード化合物として用いる。その物性値を参照値としながら、各種誘導体を合成し、最適な物性を持つポリマーを得る予定である。重合は3成分重縮合であり、各成分を変えるだけで容易に最適化が達成できるものと考えられる。今後は主に以下の点について検討する。 ①複合材料の創製:本年度において先行して実施していた検討を更に進める。エラスチン模倣型人工ポリマーと天然のコラーゲンとを混合し、人工皮膚の創製を行う。フィルムのみならずヒドロゲルの特性についても評価する予定である。ポリマー自身の応力応答性・熱応答性と材料の応力応答性・温度依存性との相関を評価し、力学特性を任意に制御した強靭な材料の創製を目指す。その後、②無機フィラーとの複合化と特性評価についても検討する。前項で得た複合材料の力学特性の更なる改質を目指し、水溶性の無機フィラーをさらに複合化する予定であり、得られたフィルム及びヒドロゲルの特性を評価する。その一方で③刺激応答性材料の創製についても検討する。ペプチド交互共重合体の側鎖に刺激応答性の官能基を導入する。pH、熱、光、酸化還元などの外部刺激によって、力学特性が自在に変化可能な材料の創製を目指す。 またこれまでに得られた知見を総括し、学会、論文などとして成果を発表するほか、報告書をまとめる
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Research Products
(18 results)