2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19F19041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20598586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE JET-SING 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-10-11 – 2022-03-31
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Keywords | 自己集合 / 多孔性 / 配位高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械的に柔軟な2次元ビフェロセン共結晶を発見:これまで、1次元の機械的に柔軟な結晶は、比較的単純な分子を使って微細に詰めたりずらしたりすることで統一されていたため、知られていませんでした。本研究では、従来のルールにとらわれず、世界で初めて2次元機械的弾性結晶を発見した。この結晶は、機械的に変形させても等方的な結晶性を維持することができる。ここでは、フェロセンのCp環からの回転、鉄を挟むCpユニット間の曲げ、突出したカルボン酸アームからの曲げという、相補的な柔軟性を持つユニークなカルボン酸置換ビフェロセン分子を設計した。フェロセン分子とグアニジンをMeOH中で共結晶化させると、ビフェロセンの柱が無秩序なグアニジンイオンと溶媒によって分離された構造が得られた。これにより、溶媒層からのH結合の交換によってカラムがスライドするという、外在的な柔軟性が得られる。溶媒を除去すると、ビフェロセン分子の空洞内にグアニジンイオンが表裏一体となって配置され、スライドが可能になる。改良されたビフェロセンの反例では、グアニジンイオンを空洞から強制的に追い出すことで、構造を密着したdigit状態に固定し、溶媒層を挿入することができず、結果として柔軟性が失われる。フェロセンオリゴマーを用いることで分子内・分子間の構造柔軟性を拡張することに成功し、新奇機能の創発を実現した。本研究は、バルク物性において結晶性と構造柔軟性を併せ持つ材料群の設計指針について知見を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、フェロセンオリゴマーを用いることで分子内・分子間の構造柔軟性を拡張することに成功し、新奇機能の創発を実現した。すなわち、バルク物性において結晶性と構造柔軟性を併せ持つ材料群の設計指針について知見を与えるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
構造柔軟性の起源について、X線マイクロビームを用いた構造解析などによって明らかにしていく。
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