2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Novel [2.2]Paracyclophane based Crystalline Covalent Organic Frameworks (COFs)
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19F19044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関 修平 京都大学, 工学研究科, 教授 (30273709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHOSH SAMRAT 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | COF / 共役高分子 / 2次元 / 動的共有結合 / 光触媒 / 化学ドープ / エネルギー変換 / Water Splitting |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異方電荷輸送能を有する2次元高分子材料を設計・合成し、高い結晶性と規則構造を有するがゆえに、その光電子的特性の評価が従来困難であった点を電極レスマイクロ波電気伝導度測定によって克服しつつ、次世代の2次元共役高分子の構造設計へと反映させることを主眼に進めている。次元性の制御には、1)絶縁被覆側鎖の導入を、電気伝導性の最適化においては2)二次元共役周期構造を有するCovalent Organic Framework(COF)の構築を、それぞれ鍵過程として実施した。令和元年度は1)について、特に交互3重結合を有する高分子を対象として実施し、その凝縮相固体規則構造の形成過程に関して、高分子骨格の線形転移が先行して引き起こされることを明らかとした。2)については、2次元骨格を構成する基本ユニットとして、tetra-formyl substituted [2.2]paracyclophane (pCP-4CHO)を中心に検討を行い、Formyl-amine間の結合によるimine構造を介して、動的共有結合性を最適化しつつCOFの構造制御を進めている。2官能性および3官能性 amines を用いて基本幾何学構造の制御を行った結果、一連の新奇なCOF構造形成に成功し、このうち一部は従来のCOFと比しても十分に高い結晶性を示すことを明らかとした。高い結晶性と自由空間の共連続性が協奏していることを鑑み、自由空間内に白金ナノ粒子を担持させ、COF骨格上の光励起を起点とした電荷分離、次いで高速な電子移動をマイクロ波伝導度測定から明らかにしつつ、白金粒子が水素発生のための還元中心として有効に作用することを明らかとした。この結果、当初の分子設計に基づいたCOFの立体構造が、ほぼ仮説に基づいて制御可能であることが実証され、光エネルギーの化学エネルギーへの変換の鍵材料となることを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初の1)リンカー分子の精密設計による次元制御高分子の構成要素のライブラリー構築は極めて順調に推移し、研究開始後およそ4か月で提案しているリンカー分子をもとにした2次元規則構造の構築は十分に達成されている。特に、構築した一部のCOF骨格は、従来報告されているCOOF材料群に比肩・凌駕する3次元積層構造を与えたため、当初の構造―電子輸送性相関研究に加えて、高効率な電子輸送を利用した光触媒・エネルギー変換材料としての展開に駒を進めている。これらの結果は、Journal of the American Chemical Society誌にすでに発表され、極めて高い化学的・構造安定性と水素発生効率はもとより、さらに高いエネルギー変換特性を与えるためのimine構造をもとにしたCOF設計指針を与えるに至った。 また、光電子特性を志向した1次元・2次元共役高分子の設計と評価についても、前述の3重結合性高分子に加えて、Pyreneを骨格に組み込んだ2次元COFについて特に高い電子非局在性を示すことを明らかとした。この材料群についてもその高い電荷輸送特性はもとより、空孔内への化学ドープが極めて有効に作用することを示し、光伝導特性だけでなく、定常電気伝導特性並びに安定なスピン種を担持できると予想される。 共役高分子の構造と電子物性の相関から新しい共役電子系の精密設計に迅速に反映させるという当初の研究の目的は十分に達成されつつ、これを利用した材料展開へと大きく飛躍しつつあり、研究進捗状況は極めて順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和1年度において、骨格構造の精密設計による光電子特性の最適化が、国内外の他研究グループとの協働により極めて迅速かつ効率的に達成できることが明らかとなった。特に積層構造とそれに伴う電子特性の理論的背景として、ドイツ・ドレスデン工科大学との共同研究が、また精密設計された分子の超微細構造の評価において、京都大学化学研究所との共同研究が、さらには光触媒反応の定量評価において京都大学物質エネルギー化学専攻との共同研究が、それぞれ短時間のうちに極めて有効に作用し、上述の展開へと直結している。 令和1年度に明らかとした基本構造は、これらのグループとの協働にとどまらず、すでに国内外数グループとの議論が現在進行中であり、Samrat氏の主導による材料群を介したネットワーク構築を、今後の主な研究の推進方策としたい。
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Research Products
(6 results)