2019 Fiscal Year Annual Research Report
Piezoelectric Soft Materials Based on Magnetically Oriented Cellulose Nanocrystals
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19F19063
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石田 康博 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (20343113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANNAMALAI PRATHAP 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-07-24 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子ゲル / ナノコロイド / 異方性 / 構造色 / 複合ソフトマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁場配向したナノコロイド(無機ナノシート、セルロースナノファイバーなど)を機能性超分子ゲルに埋め込むことにより、ユニークな機能を発現する複合ソフトマテリアルの開発を目指す。この目的にふさわしい超分子ゲル化剤を探求するとともに、これを用いて磁場下にてコロイド分散液をゲル化することで、非対称な配向構造を持った超分子ゲルを作成するともに、その光・電気物性を精査する。
今回、種々の超分子ゲル化剤を検討したところ、(S)-イソロイシンと(S)-フェニルアラニンの環状ジペプチドが、水とジメチルスルフォキシドとの混合物を固化するための優れたゲル化剤として機能することが分かった。そこで、水中に分散した無機ナノシートを磁場配向させた状態にて、この環状ジペプチドを用いて系全体をゲル化させたところ、異方的なナノ構造を持つ超分子ヒドロゲルが得られた。特に、前駆体となる無機ナノシートの水分散液を十分に脱塩したところ、無機ナノシート間の静電反発力が増強される結果、シート間距離が数百ナノメートルにまで広がるとともに、無機ナノシートは磁場により一義的に配向するため、系は鮮やかな構造色を呈した。この構造は、超分子ヒドロゲル組織により固定されるため、磁場を解除した後も1ヶ月以上安定に保持された。一方でこのヒドロゲルを70℃以上に加熱すると、ゲルからゾルへの転移が速やかに進行し、これを再び磁場中にて冷却すると、異方的なナノ周期構造が自発的に再生された。この構造解除・構造再生は劣化を伴うことなく繰り返し可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
短期間のうちに、優れたゲル化能力を示す化合物を選定するとともに、その温度相転移を利用し、構造固定・構造解除を可逆的に繰り返すことが可能なフォトニック結晶材料を開発することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発された、構造色を示す超分子ヒドロゲルについて、光熱変換機能を持つ物質(例えばカーボンナノ粒子など)を添加し、光照射部位のみにてゾルゲル転移が起こすことにより、望みの場所のみで構造の書き換えが可能なフォトニック結晶材料の開発を目指す。
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