2019 Fiscal Year Annual Research Report
High-resilient rocking wall-frame structural systems with hybrid damping devices for earthquake load
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19F19077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 峰広 京都大学, 工学研究科, 教授 (50183900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG BIN 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-07-24 – 2022-03-31
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Keywords | 形状記憶合金 / 耐震性 / 復旧性 / アンボンド / プレストレストコンクリート / プレキャスト / コンクリート / ダンパー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,鋼材ダンパーと粘性ダンパーとを組み合わせたハイブリッド・パッシブ・ダンパーを使って,耐震性の高い建築構造骨組を提案することにある。対象とする骨組は,アンボンドPC鋼材により建物高さ方向にプレストレスを導入したプレキャスト連層壁(UPT壁)と柱梁骨組で構成される。プレキャスト連層壁の地震時挙動は,非線形弾性的なものとなり,地震時応答が大きくなる。適切なダンパーを組み合わせることにより地震時応答を低減するとともに,残留変形をできるだけ小さくし,大地震時にも人命が損なわれず,かつ,早期復旧できる建築構造物の開発を目指している。 2019年度は,形状記憶合金(SMA)をダンパーとして使用した場合のUPT壁の地震時応答を数値解析的に検討した。壁端部にはL字型の鋼板をボルトで取り付けている。解析結果では,本提案システムの荷重ー変形関係が安定したフラッグ型の履歴復元力特性を描くことを示された。また,SMAとL字型鋼板との断面積を調整することにより,設計者がUPT壁の耐震性能を制御できることも示された。これにより,アンボンド・プレキャストコンクリートという優れた施工性と高品質に加えて,安全性と復旧性の高い構造システムを構築できることが示された。 提案されたもうひとつの構造システムは,ふたつの鉄筋コンクリート造連層耐震壁を,鋼製梁で連結したものである。鋼製梁はロッキング要素を,剛と見なせる要素で挟んだ形状となっている。ロッキング要素は棒状のSMAとL字型の鋼板により剛要素に接合されている。棒状SMAとL字型鋼板要素に対して載荷実験を行い,荷重ー変形関係を得た。有限要素解析を用いてこれら要素の数値解析シミュレーションを行った。さらに,以上の要素から成る連結梁の挙動を有限要素解析によりシミュレーションし,安定したフラッグ型の履歴復元力特性が得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記載した通り,様々なパラメータに対する解析的検討を行っており,数値解析シミュレーションは進んでいる。一方,銅ベースの形状記憶合金試験体の入手に時間がかかるため,これに対する繰返し載荷実験が遅れている。銅ベースの形状記憶合金は2020年度中に入手できる予定であるが,万一製造に時間がかかり,納入が遅れたり,予定していた性能が発揮されなかった場合には,NiTiベースのSMAを使用し,同様の研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄筋コンクリート造建物の地震時応答を,各種ダンパーの組合せにより制御する方法を引き続き数値解析シミュレーションにより検討する。ダンパーとしては,鋼材ダンパーなどの履歴ダンパー,粘性ダンパー,さらには,銅ベースの形状記憶合金を適用し,地震時応答を低減しながら,復旧性の高い建築物設計の方策を探る。これらダンパーを組み合わせて使用した建物の静的非線形増分解析および時刻歴応答解析を行い,付加するダンパー量と各種ダンパーの最適な組合せを探る。 今年度は,銅ベースの形状記憶合金試験体に対する繰返し載荷実験を実施する予定である。圧縮を受けた際に座屈しないよう,座屈防止のための機構を設ける。実験結果に基づき,降伏強度,引張強度,セルフセンタリング性能,および,エネルギー吸収能力を評価する。この際には,ひずみ振幅,ひずみ速度,載荷履歴,および,温度をパラメータとする。得られた知見に基づき,本形状記憶合金の力学挙動をモデル化し,ダンパーを設置した建物の静的および動的数値解析シミュレーションに反映させる。 銅ベースの形状記憶合金は入手できる予定であるが,万一製造に時間がかかり,納入が遅れたり,予定していた性能が発揮されなかった場合には,NiTiベースのSMAを使用し,同様の研究を行う予定である。
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Research Products
(2 results)