2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規化学修飾ハイドロゲル粒子を用いた三次元唾液腺オルガノイドの成長制御
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19F19114
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40324793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FARAHAT MAHMOUD 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 唾液腺オルガノイド / 組織操作 / マイクロビーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、実験室で細胞を元に組織様組織を構築する、いわゆるオルガノイド作製が注目を集めている。しかし、この作製されたオルガノイドのサイズ、形態、機能を制御する技術は依然確立されていない。そこで、本研究の目的は、細胞の自己組織化を制御する化学的および物理的に制御された微小環境を作製し、単離した唾液腺組織ならびに作製した唾液腺オルガノイドのサイズ、形態、機能を実験室にて調節することである。 この目的を達成するための化学的因子をまず選定することからはじめた。フィブロネクチンはこれまでから唾液腺組織形成における分岐部形成に重要な因子として報告されている。そこで本研究ではこの因子を唾液腺組織オルガノイドにおける再構成系に作用させた。その結果、唾液腺組織再構成系では、この因子は導管形成に大きく関与することが明らかとなり、また、この影響は量依存性であることがわかった。これら結果について、昨年度発生生物学の国際ジャーナルに論文を発表するに至っている。 一方、組織成長制御を達成する因子を局所に供給する仕組みとして、本研究では微小ハイドロゲルビーズの利用を想定している。そこで、昨年度はその材料合成、ゲルビーズ作製の最適化も同時に進めている。具体的にはアルジネートハイドロゲルを一定速度で送液し反応液と反応する装置を試作し、この試作装置を用いたゲルビーズの作製ならびに作製されるビーズサイズ、形状の定量を進め、その最適な条件を見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィブロネクチンを応用することで再構成される唾液腺オルガノイドの成長制御ができる可能性に関する論文が国際誌に掲載された。一方、組織成長制御を達成する因子を局所に供給する仕組みとして、本研究では微小ハイドロゲルビーズの利用を想定している。そこで、昨年度はその材料合成、ゲルビーズ作製の最適化も同時に進めている。具体的にはアルジネートハイドロゲルを一定速度で送液し反応液と反応する装置を試作し、この試作装置を用いたゲルビーズの作製ならびに作製されるビーズサイズ、形状の定量を進めた。このように、目的遂行に向けた実験計画に則り研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はすでに作製したゲルビーズを用いて、実際の組織再構築過程におけるフィブロネクチン局所作用の影響について検討を進める。単離した顎下腺から化学的処理によって回収した上皮細胞、並びに間葉系細胞を混合した状態でマトリゲル内で培養、顎下腺組織の再構築を誘導する。この際、あらかじめ準備した濃度の異なる微小ビーズをゲル内に添加する。この結果生じる再構成顎下腺の形態変化について、光学顕微鏡ならびに蛍光顕微鏡を用いて、時間経過とともに検討を進める。また、ビーズ添加部位に依存した形態変化についてイメージ解析用ソフトウェアを併用し検討する。 これら研究結果については、国内での学会発表ならびに早期の論文化を目指す。
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Research Products
(1 results)