2019 Fiscal Year Annual Research Report
希土類触媒を用いた1電子移動戦略に基づく物質変換反応
Project/Area Number |
19F19338
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
侯 召民 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (10261158)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QIU YOUAI 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
|
Keywords | 希土類アルキル錯体 / スカンジウム / C-H結合活性化 / 有機金属化学 / 有機合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率で原子効率に優れた不斉合成反応などの物質変換反応の開発を目指して、希土類の特異な性質を利用した高活性、高選択的な錯体触媒の開発を行っている。本年度は、ハーフサンドイッチ型の希土類アルキル触媒を用いて、窒素原子上にt-ブチル基を有するイミノフェニルナフタレンとスチレンとの反応を検討した。スカンジウム触媒を用いて反応を行ったところ、2位のナフチル水素が引き抜かれた後、スチレンと反応し続いてイミンに付加した7員環化合物とオルト位水素が引き抜かれた後、スチレンとイミンと反応した5員環化合物が2:1の混合物として得られた。いずれの生成物についても窒素上のt-ブチル基は外れ、一級のアミン化合物となっていることがNMRによって確認された。一方、イットリウム触媒を用いた場合には、7員環化合物が選択的に得られ、顕著な中心金属の効果が観測された。環状アミン化合物を原子効率100%で合成することに成功した。またスカンジウム触媒を用いてフェニルキノリン類とスチレンを反応させると、キノリンのオルト位がアルキル化された化合物が得られ、メチルキノリン類とスチレンとの反応では、フェニル基のオルト位がアルキル化された化合物が得られることが明らかとなった。合成した化合物は、導入した置換基の大きさにより、軸不斉が生じる可能性があり、不斉補助配位子を有する希土類アルキル触媒を用いて、不斉アルキル化反応について今後検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、希土類アルキル触媒系を用いてイミノフェニルナフタレンとスチレンとの反応を反応させることにより、原子効率に優れた環状アミン化合物の合成の開発に成功し、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回合成したアルキルキノリン類は、導入した置換基の大きさにより、軸不斉が生じる可能性があり、不斉補助配位子を有する希土類アルキル触媒を用いて、不斉アルキル化反応について今後検討する。
|
Research Products
(2 results)