2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creation and application of nanoscale polycatenane
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19F19341
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80344969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DATTA SOUGATA 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / トポロジー / カテナン / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当該研究グループが先駆的に開発に成功した直径20 nm程度のπ-リング、すなわちπ共役分子が集合することで形成する機能性ナノリング構造体を鎖のように連結することを目的とした。このような構造体はポリカテナンと呼ばれ、低分子では報告があるものの、ナノスケールの集合体では報告がない。π-リングは様々な機能性分子から作ることができるため、フォトクロミック分子や発光分子を用いることで、変形可能なリング構造や発光性リング構造の構築が可能になる。本研究では、これら機能性π-リングをポリカテナン化することで、光駆動性や発光性ポリカテナンを構築する。これらの構造を各種顕微鏡で可視化し、その物性を精査することで、ナノスケールでのトポロジーに特有な機能を有するソフトマテリアルを創出するための研究基盤を構築する。 すでにπ-リングを効率よく形成する標準分子を基軸として、ポリカテナンを高収率で得るための手法を探求した。これまでは高温モノマー溶液の冷却によってπ-リングが偶発的に連結することによってポリカテナンを得ていた。一方、溶媒混合法を活用することで、2次核形成、すなわちすでに形成されたナノリングの内側で新たなπ-リングを形成させることができることが明らかになった。そこで、様々な溶媒を用い、カテナンの形成率を精査した。さらに、2次核形成によってリングが連結されうることを証明するために、リングを用いた種(シーディング)実験を行い、これを実証した。結果を論文としてまとめ、Nature誌に投稿したところ、審査員から極めて高い評価を受け、掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
自発的な自己集合性ポリカテナンの形成メカニズムについて、詳細に検討したところ、リングの表面から新たなリングが形成されていることが示唆された。そのため、リングを用いたシーディング実験を行ない、得られた自己集合キネティクスをタンパク質の核形成モデルを用いてフィッティングしたところ、2次核形成が頻発していることが明らかになった。そこで、2時核形成の頻度をさらに上げるべく、溶媒や溶媒を混合する条件を詳細に検討したところ、直鎖アルカン溶媒を用い、分割インジェクション法を用いることで、20個以上のリングが連結したポリカテナンを構築することに成功した。以上の結果を論文にまとめ、投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々なモノマー分子を用いてリング構造を作成し、それらを元にポリカテナンの調製する。例えば、ある種のモノマー分子はリングを形成することで発光が著しく増強されることがわかっている。またある種のリングは、光をあてることで開環超分子重合することも明らかになっている。これら、リング独自の機能と、ポリカテナン化することで空間的に束縛されたリングの挙動をこみ合わせることで、多種多様なナノ構造物性が見出せると期待している。
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Research Products
(5 results)