2019 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット・ランタノイド複合光触媒を活用した新興微量汚染物処理技術の開発
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19F19349
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特任准教授 (30598503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALKALLA MOHAMED 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 新興微量汚染物 / 分解処理技術 / 量子ドット / ランタノイド / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品、パーソナルケア製品、農薬、殺虫剤等の新興微量汚染物は下排水中に混入し、下水処理により十分に除去できない場合、環境中へ放流され水生生態系などに影響を及ぼす。しかしながら、新興微量汚染物の多くが難分解性を示すため、効率的な分解処理技術の開発が必要である。本研究では、ナノ材料である半導体触媒や、カーボン材料、量子ドット、ランタノイドなどを組み合わせて用いることで、効果的な汚染物質処理法を提案することを目的とする。研究初年度は、光触媒(ZrV2O7)とグラフェンを複合材料とし、低バンドギャップの材料を合成した。その材料特性を電子顕微鏡(TEM、SEMなど)や分光分析(XRD、XPS)で明らかにした後、有機リン系殺虫剤であるクロルピリホスを対象として光分解試験を実施した。その結果、ZrV2O7・グラフェン複合光触媒を用いた場合、5回の連続試験においてそれぞれ、96.8%、95.2%、93.8%、92.8%、91.0%の分解効率が得られた。これは、ZrV2O7のみを用いた場合(85.4%、84.6%、83.8%、82.6%、81.8%)と比較して、高い値を示し、複合材料による高い分解効率が実現された。また、クロルピリホスの分解メカニズムや分解経路についても、質量分析による測定ならびに考察を行った。その結果、光触媒により生成されるヒドロキシルラジカルおよびホールが、クロルピリホス分解プロセスにおいて重要な活性酸素種であることが明らかとなった。また、以上の光触媒の実験に加え、量子ドットランタノイドを合成するため、酸化グラフェンの処理によるグラフェン量子ドットの作成にも取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度では光触媒(ZrV2O7)とグラフェンの複合材料を合成し、クロルピリホス分解試験を実施することができた。さらに、量子ドットランタノイド合成へ向けたグラフェン量子ドットの作成にも取り掛かった。以上より、研究初年度の研究計画を達成しており、おおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究では、当初の研究計画通り、量子ドットランタノイドの合成と特性分析を進めるとともに、新興微量汚染物の処理分解性能を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)