2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-scale functional architecture for binocular stereopsis in primate visual cortex
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19F19383
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60181351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FANG YANG 大阪大学, 生命機能研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 両眼立体視 / 両眼視差 / 霊長類 / 視覚野 / 大脳皮質 / 機能構築 / 内因性信号光学計測 / 2光子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちが生きる世界は空間的に三次元である。私たちはそのような世界を見て、明確な奥行きを感じることができる。これが可能なのは、左右の目が異なった角度から世界を見ているからである。その結果、個々の物体は、その奥行きの位置に従って、左右の網膜の上にわずかにずれた像を結ぶ。この網膜像のずれ(両眼視差)の方向と大きさは物体の奥行き位置によって決まる。脳はこの関係を利用して、両眼視差から物体の奥行きを計算する。霊長類大脳皮質の高次視覚野において、この計算は頭頂葉経路(背側経路)と側頭葉経路(腹側経路)の両方で行われているが、側頭葉経路に両眼視差の情報がどのような初期・中期視覚野を介して到達しているかは不明である。本研究では、初期・中期視覚野である2次視覚野で、この計算過程に関与する神経細胞が持つ性質とその分布(機能構築)を明らかにする。2次視覚野は、細い縞、太い縞、淡い縞と呼ばれる3種類のサブ領域が繰り返し現れるという特異な構造を持っているが、どの縞に両眼視差情報を伝える神経細胞が存在するのか、複数の縞に存在する場合、両眼視差情報処理にどのような違いがあるのかを解明し、側頭葉、頭頂葉へ向けてどのように両眼視差情報の変換がなされているかを解明することを本研究の目的とする。この目的の達成のためには、大脳皮質の広域(10ミリ四方)の活動を可視化する内因性信号光学記録法と、細胞レベルの解像度で神経細胞の活動をモニターする2光子カルシウムイメージング法の並列適用の技術が必要である。本年度は、この技術の開発を行い、内因性信号光学記録法によるサルの2次視覚野の縞構造の同定と、2光子カルシウムイメージング法による単一ニューロンレベルでの視覚反応(カルシウム濃度に依存した蛍光反応)の計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内因性信号光学記録法によるサルの2次視覚野の縞構造の同定と、2光子カルシウムイメージング法による単一ニューロンレベルでの視覚反応(カルシウム濃度に依存した蛍光反応)の計測に成功した。これを可能にするには、広域(10ミリ四方以上)のイメージングと長期にわたって安定した蛍光反応を示す遺伝子トレーサーが必要である。本研究では、広域イメージングを可能とする特殊な記録チャンバーを開発して前者の目的を達成し、また、GFP遺伝子とカルシウム感受性タンパク質の融合タンパクをコードするウイルスベクターを共同研究者らが開発し、実験に用いることで、後者の目的を達成した。広域イメージング(内因性信号光学記録)およびカルシウム反応は共に6ヶ月以上安定して記録できることを確認した。このように順調に研究が進行していたが、2020年の年明けより、コロナウイルスの蔓延という予期せぬ出来事が起き、実験の停止せざるを得なかった。特に、本研究の主体であるFang Yang博士が中国に休暇で戻っている間に武漢でのアウトブレイクが起き、帰国後、自宅待機を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書を書いている5月28日現在、政府による緊急事態宣言は解除され、これから徐々に大学での研究が再開される予定である。今後、実験に供する動物を再度準備し、計画している研究を推進していく。
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Research Products
(2 results)