2020 Fiscal Year Annual Research Report
GREEN CROP MANAGEMENT: STRATEGIZING NITROGEN-WATER INTERACTIONS FOR CLIMATE-SMART RICE PRODUCTION
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19F19395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 洋一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50463881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ATA-UL-KARIM SYED TAHIR 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
特別研究員は東京大学の水田において2020年度から水稲試験研究を始めた。これまでの研究(複数の作物種における窒素利用効率向上のための施肥管理と窒素栄養診断技術の開発)を、稲作における気候変動適応研究に発展させるため、効率的な施肥管理と灌漑利用効率向上の両立、特に施肥節約と灌漑節約のトレードオフに焦点を当てた試験を設計した(分割区法による多処理区の配置)。先行研究では、灌漑投入量を節減すると、施肥投入量を増加させなければ明瞭な収量低下が起きること、すなわち、灌漑投入と施肥投入にトレードオフが認められるため、これらの稲作技術要素の高度なレベルでの調和を目指した。同時並行で、イネの節水栽培・省施肥栽培に関する近年の研究報告に関して文献レビューを進め、窒素施肥利用効率向上に関しては、地上部乾物重―地上部植物体窒素濃度の関係からなる窒素希釈カーブをもとに窒素栄養診断を進めるコンセプトについて必要なインプット情報を整理した。水稲試験における生育期間中、定期的に植物体サンプルを採取し、500点以上のサンプル調製を行い、全てのサンプルで窒素分析を完遂した。そして、異なる灌漑条件において窒素希釈カーブを作成し、水×窒素施肥の交互作用に関する水稲生理生態の解析を進めた。今後、これらの採取した窒素含有量データ・作物バイオマスデータ・収量と収量構成要素データを基にして、作物成長モデルのパラメタリゼーションを進める。そのほか、優良インディカ水稲育成系統の大規模集団に関する収量関連形質のデータ解析を進め、結果を取りまとめた。この結果については国際誌への投稿準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で研究遂行に一部制限が出ている。研究者本人が一時帰国した際、コロナ禍で再来日がしばらくできない事態が発生した。深刻な遅れではないため、今後、少しずつ遅れを取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アジアの水稲栽培においては、収量および生産物の品質に関して、灌漑投入量と施肥投入量にトレードオフが認められ、両者の節減を同時に進めることは大きな技術課題となっている。水稲生産における施肥投入量と灌漑投入量の節減とそのトレードオフに関して追試を行っていくとともに、この点に焦点を当てた文献レビュー(総説執筆)を完遂させる。
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