2019 Fiscal Year Annual Research Report
マルチオミクス解析による翻訳制御異常に着目したALS/FTDの病態解明
Project/Area Number |
19F19414
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (40321781)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAGAGNIN AUDREY 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2019-10-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 筋委縮性側索硬化症 / 前頭側頭型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト筋委縮性側索硬化症/前頭側頭型認知症に深く関与するTDP-43タンパク質の機能について核内での主要なスプライシング機能に着目した研究は多いものの、筋委縮性側索硬化症/前頭側頭型認知症により密接に関わるとされる細胞質における機能については不明な点が多い。これまでの神経変性研究の知見を発展させ、変異型・凝集型TDP-43タンパク質の細胞質における機能不全がヒト筋委縮性側索硬化症/前頭側頭型認知症患者でみられる病態発現に深く関与するとの仮説に基づき、本研究を進める。本年度は、TDP-43タンパク質に関わる新たなマルチオミクス技術を開発を目指し、培養ヒト細胞や培養マウス大脳皮質神経細胞を用いて様々な細胞生物学実験における条件の最適化を行った。特に、筋委縮性側索硬化症に関わるTDP-43タンパク質の発現や局在を最適化し、さらにTDP-43タンパク質が結合する生体分子を効率よく回収するための手法の開発を行った。化学架橋の手法や、細胞から抽出する際の手法および緩衝液、免疫沈降に用いる緩衝液や抗体の最適化を行った。これらの手法を通して、TDP-43タンパク質に関与する生体分子を効率よく単離する手法をほぼ確立させた。さらに、家族性筋委縮性側索硬化症に関わる変異をもつ複数のTDP-43変異体を用いて同様の実験を行い、野生型との違いを明らかにするための実験系を構築した。また、TDP-43タンパク質に加えて、他の神経変性疾患関連タンパク質についても同様の技術開発に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TDP-43タンパク質の機能に関与する生体分子をターゲットとした新たなマルチオミクス技術を開発を目指す上で基盤となる実験において、その条件の最適化をほぼ終えることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、この基盤となる試料作成法を用いて、TDP-43タンパク質の機能に関与する生体分子の解析を進める。それによって筋委縮性側索硬化症との関係を分子レベルで明らかにする。また、同様の技術を、他の神経変性疾患関連タンパク質にも応用し、より幅広く神経変性疾患の病態解明に繋げていく。
|