2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規可逆水電解/燃料電池とそのための水素活物質の開発に関する研究
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19F19707
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 広重 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授 (70283413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAI QIWEN 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 水素吸蔵材料 / 蓄電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水素吸蔵型酸素還元電極を備えた蓄電機能を有する燃料電池を開発することをその目的とする。そのためにまず、水素吸蔵性を有する材料の電極特性を異なるイオノマーおよび電解液の存在下で調べた。酸化還元電極の候補材料として遷移金属のオキシ水酸化物、および水素吸蔵性を有する金属を選択し、その酸化還元特性をサイクリックボルタンメトリー(CV)および直流分極試験により調べた。その結果、オキシ水酸化ニッケルを電極として用いた時に、上記目的に合致する酸化還元電位が得られることが確かめられた。次に、この電極をプロトン伝導性電解質と組み合わせたセルを構成し、その水素吸蔵・放出時の酸化還元電位を測定するとともに、発電・充電特性について調べた。提案時に想定したプロトン伝導性材料として、多孔質性のチタニア系無機酸化物を用い、イオノマーおよび電解液に種々の材料を検討したが、所望の発電・充電特性を得るのがむずかしく、満足のいく特性は得られなかった。 当初の研究構想の中では、電解質材料として多孔性無機プロトン伝導体を用い、開発する充電型の燃料電池に吸水多孔質電解質セルの構造を適用する予定であった。しかし、種々の検討を行った結果、このような電解質を用いた充電、発電が満足には行えないという結果が得られた。そこで、電解質の選択を変更しプロトン伝導性高分子電解質(パーフルオロスルホン酸)を用いることとする。予備的な試験において、水電解(充電)および燃料電池発電の可逆な特性が得られており、オキシ水酸化ニッケルを片側の電極として高分子電解質と組み合わせることにより蓄電機能を有する燃料電池が原理的に構成できる可動かを今後検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の中で想定した無機プロトン伝導体を用いた場合には、目的にかなう充電、発電の特性を得ることができなかった。したがって、当初はセルの特性を年度の後半に行う予定であったが、プロトン伝導性酸化物電解質のさらなる検討が必要になった。また、電極の水素吸蔵性についてオーストラリアのニューサウスウェールズ大との共同実験により実施する予定であったが、電極の開発が遅れたことに伴い実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように、水素吸蔵型酸素還元・水酸化電極の開発を行うためにβ-オキシ水酸化ニッケルとプロトン伝導性電解質を組み合わせた電極特性をサイクリックボルタンメトリー(CV)に調べ、プロトン伝導性電解質として用いたプロトン伝導性酸化チタンが十分に働かず、期待したCV特性が得られないことが分かった。一方、予備試験により、プロトン伝導性材料として高分子電解質を用いれば望ましい電極特性が発揮されるという感触をつかんでいる。したがって、高分子電解質を含め電解質およびその取り付け方法等について検討を行う。 電極特性が得られ次第、これを電気化学セルに組み込み水素吸蔵・放出特性を調べるとともに、可逆水電解・燃料電池セルの試験を行う。
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