2020 Fiscal Year Annual Research Report
Search for the origin of the highest energy cosmic rays and the connection to multi-messenger astrophysics
Project/Area Number |
19F19750
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐川 宏行 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (80178590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEDYNITCH ANATOLI 東京大学, 宇宙線研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2019-10-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 最高エネルギー宇宙線 / 空気シャワー / ハドロン相互作用 / 大気ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大のために、研究者の海外への渡航および日本への共同研究者の招聘が制限されたが、ZOOMによる会議および打ち合わせ等を活用することにより研究を進めることができた。 2020年夏には2か月ほど米国Alberta大学の学生であるKeito Watanabe氏を宇宙線研究所に招聘して共同研究をおこない、宇宙線追跡コードを実装して地磁気による地球上のいろいろな場所(赤経・赤緯)における宇宙線のカットオフ(到達する宇宙線のエネルギーの最小値)を計算し、カットオフ値のマップについて別の手法による先行研究との比較をおこなった。この結果は、デンマークのニールス・ボーア研究所(NBI)のTetiana Kozynets氏の3次元ニュートリノフラックス計算に役立つことになった。 研究分担者はJ. Heinze と D. Biehl と共に、GRB (ガンマ線バースト)のマルチメッセンジャーの特徴に関する論文を出版した。また研究分担者はNoemie Globus と Roger Blandford とともに、宇宙線(特に偏極した放射線)と生物学的生命の起源との関係に関する根本的に新しい理論的な共同研究をおこなった。さらに研究分担者はMatthias Huber (TUM, Munich) との共同研究において新しいハドロン相互作用モデルを構築した。 研究を促進するために宇宙線研究所においてGPU(Graphic Processing Unit)ワークステーションの構築をおこない、研究の環境を整備した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、COVID-19の感染拡大のために海外へ直接渡航することや招聘予定の研究者が入国することがほとんどできなかったが、Keito Watanabe氏を宇宙線研究所に招聘して、宇宙線追跡コードを実装した地磁気による宇宙線のカットオフの研究を進めることができた。またメール、ZOOMなどのやりとりを含めて、研究分担者は、3次元ニュートリノフラックス計算、マルチメッセンジャーの特徴の研究、生物学的生命の起源との関係の研究を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染拡大の状況にもよるが、2021年度には共同研究者のKeito Watanabe氏とTetiana Kozynets氏を宇宙線研究所に招聘して研究をまとめる予定である。また分担者は、包括的ハドロン模型と不確かさの伝播に関する研究のまとめを行う予定である。その他に地下深くのミューオン測定から得られるDDM(データ駆動型包含的ハドロン相互作用モデル)に対する高エネルギーでの制約また浅い深さのミュオンスペクトロメーターデータの複合的な分析から、初めて系統誤差を厳密に考慮したDDMの低エネルギー較正をおこなう予定である。このモデルは、その不確かさと異なるタイプの測定値との間に明確な関係を示し、今後、モデルの誤差をさらに減らす可能性がある。その他にカスケード方程式の新しい2次元解法(デンマークの博士課程学生Tetiana Kozynetsと分担者との共同)がある。MCEqコードに統合されれば、空気シャワーと3次元ニュートリノのハイブリッドシミュレーションに使用することができる。DDM、2D-MCEq(2次元マトリックスカスケード方程式)、そしてKeito Watanabe氏が最初に書いた宇宙線追跡コードを組み合わせて新しい高精度のモデルが完成する。このモデルを空気シャワーコードCORSIKA8に統合することで、テレスコープアレイやオージェ実験による超高エネルギー宇宙線データの解釈に大きく貢献することが期待される。
|
Research Products
(9 results)