2019 Fiscal Year Annual Research Report
Using Imagination to Learn What to Want
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19F19762
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮園 健吾 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20780266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TOOMING UKU 広島大学, 総合科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 想像力 / 欲求 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年11月からのスタートであり、半年に満たない研究期間ではあったが、しかし、すでに、幾らかの成果(研究発表2回)が出ており、かつこれからの研究のための準備が整いつつある。具体的には、Tooming(特別研究員)と宮園(研究代表者)との共同研究として、(1)想像と記憶についてのブックチャプター、(2)想像力の鮮やかさについてのジャーナル論文、(3)飲食物の名前やタイトルと想像力についてのジャーナル論文の3つを進めてきた。 (1)について。過去の出来事の記憶と未来の出来事の想像は、異なった種類の能力であるのか、あるいは同じ能力として理解できるのか。この論文では、記憶と想像との違いの一つだとしばしばみなされる認識論的な差異、すなわち、記憶は知識の源泉であるが想像はそうではないという差異を取り上げ、実際にはこの差異は見かけだけのものであり、想像もまた記憶と同じように知識の源泉となりうると論じる。 (2)について。哲学や心理学で論じられる想像の「鮮やかさ(vividness)」をどのように理解すればよいか。それを定義することはできるだろうか。この論文では、鮮やかさを一種の自然種、あるいは恒常的な性質のクラスター(homeostatic property cluster)として理解することを提案し、そのクラスターを形成する性質はどのようなものであるか、またそのクラスターを説明するメカニズムはどのようなものであるかを明らかにする。 (3)について。飲食物にしばしば付けられるタイトルはどのような機能を果たしているだろうか。例えば、「雨後の月」という日本酒の名前は、この日本酒を味わう経験にとってどのような役割を果たしているだろうか。この論文では、飲食物のタイトルがある種の想像を喚起し、その想像が飲食物を味わう経験に貢献するというプロセスを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Toomingと宮園との共同研究が予想以上に進展しており、来年度以降、具体的なアウトプットとして結実する公算が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も、Toomingと宮園との共同研究を軸に、研究活動を進めていく。現在進行中の共同研究プロジェクト、すなわち、(1)想像と記憶についてのブックチャプター、(2)想像力の鮮やかさについてのジャーナル論文、(3)飲食物の名前やタイトルと想像力についてのジャーナル論文の3つについて、2020年度中のアウトプットを目指す。また、共同執筆とは別にToomingが執筆してきた複数の論文、欲求についての論文、欲求の自己知についての論文なども早期のアウトプットを目指す。
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