2021 Fiscal Year Annual Research Report
中島敦を中心とする大日本帝国期日本文学の実証的、理論的研究
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19F19783
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星埜 守之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10238743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SENICA KLEMEN 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 比較文学 / 日本近代文学 / オリエンタリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度前半には外国人特別研究員は、鹿児島から琉球列島、東南アジアにかけての地域の研究を担う鹿児島大学総合研究博物館、中島敦と同時代に活躍した林芙美子など、鹿児島ゆかりの作家たちに焦点を当てている、かごしま近代文学館、さらには長崎原爆資料館などでの調査を予定していたが、コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出及び東京等での爆発的感染拡大により、県境を越える移動も自粛が求められる事態となったため、これらの国内調査は断念せざるを得なかった。他方、この期間にはスロヴェニアの作家、アルマ・カーリンについての論文、Following in the Footsteps of Isabella Bird? Alma Karlin and Her Representations of Japan の執筆を行い、スロベニア、リュブリャナ大学アジア研究専攻の紀要Asian Studiesに掲載された。この論文は、アルマ・カーリンが1920年代前半の日本滞在時に書いた旅行記、ないしは日本文化についての民族誌的記述を、これに先立ち明治期前半に日本に滞在して『日本奥地紀行』を著したイギリスの著名な旅行記作家イザベラ・バード(1831-1904)のそれと比較しながら、二人の女性旅行記作者の類似点と相違点を浮き彫りにするもので、両者の背景にある出身階級、文化、時代精神、イデオロギー上のコンテクストや、ジェンダーの観点を踏まえながら、カーリンの異国趣味的、オリエンタリズム的なテクストの生成を分析しており、カーリンがイザベラ・バードなどの旅行記の「踏み固められた道」に影響を受けつつも、みずからの日本文化や日本語の理解を一定程度相対化し、バードとは違った独特なテクストを書いたことが示されている。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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