2019 Fiscal Year Annual Research Report
Region-selective annulative pi-extension reaction of polycyclic aromatic compounds
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19F19811
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 教授 (80311728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STEPEK IAIN 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / APEX / ナノグラフェン / 直接アリール化 |
Outline of Annual Research Achievements |
多環芳香族炭化水素を一段階で縮環するπ拡張反応(APEX反応)の適用範囲拡大を目指した。特に、多環芳香族炭化水素にはK, L, M, bay, coveといった様々な領域が存在しているが、その中でもL領域選択的反応はこれまで報告されていない。そこで本研究では、L領域選択的なAPEX反応の開発を目指した。L領域とはナノグラフェンでいうジグザグ端方向や、ナフタレンでい うペリ位方向を指す。そこでまず、ナフタレンやフルオランテンをPAHのモデル化合物としたL領域APEX反応を検討した。本年度の研究期間は約4ヶ 月しかないため、まずは種々のアリール化剤の合成や金属触媒の調整をおこなう。アリール化剤としては、ホウ素、ケイ素、ハロゲンなど反応 性官能基をもったオルト二置換ベンゼン誘導体や、1,8-二置換ナフタレン誘導体を合成し、金属触媒としては、直接アリール化に活性なパラジウム錯体触媒、ルテニウム錯体触媒、ロジウム錯体触媒などをを検討した。現在までのところ、一部組み合わせにおいてPAHのL領域での直接アリール化が起こることがわかり、研究における第一歩となった。さらに縮環した目的化合物は得られなかっため、目的のL領域選択的APEX反応の実現にはさらなる検討が必要でることがわかった。なお、2月中旬ごろから新型コロナウィルスの影響のため研究室を閉鎖しており、上記研究成果は着任した2019年11月から2020年1月のわずか3ヶ月間である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2月中旬ごろから新型コロナウィルスの影響のため研究室を閉鎖しており、研究成果は2019年11月-2020年1月のわずか3ヶ月間で得られたものとなっている。そのため、当初の予定より研究の進捗が遅れる結果となった。しかし、実験休業中も自身の関連研究の論文集めや総説を執筆するなど、時間を有効に利用した。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した種々のアリール化剤での検討はまだ不十分であるため、今後も様々な条件や金属触媒を用いて検討を進める。具体的には、パラジウム触媒など炭素ー水素直接アリール化に適した触媒とアリールシラン類、アリールホウ素化合物、 ハロゲン化アリール類をもちい、LおよびM領域でのC-Hアリール化の検討から開始する。すでに電子不足なアリールパラジウム種を発生させることができれば、芳香環のK領域へのアリールパラジウム化が行えることがわかっている。PAHのL領域やM領域の立体的特徴や電子的特徴(芳香族求電子置換がおこりやすい)などの特徴を生かし、配位子や酸化剤などの検討によって、LおよびM領域でのC-Hアリール化が行えると考えている。開発した素反応をもとに、アリール化試薬をチューニングすることで、一段階でのLおよびM領域選択的APEX反応の開発へと展開する予定 である。
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