2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanisms of selective mitochondrial degradation via ubiquitin-related pathways
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19F19816
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 浩二 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (40455217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHUSTER RAMONA 大阪大学, 生命機能研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー / 翻訳後修飾 / ユビキチン / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
余剰または不良ミトコンドリアの丸ごと隔離・除去は、進化的に保存された基本的な機構であり、オートファジーの仕組みを利用していることから、「マイトファジー」と呼ばれる。マイトファジーはミトコンドリアの量や品質の管理に寄与しており、その破綻は様々な疾患を引き起こす可能性が提起されているが、詳細な分子機構は未だ多くの謎に包まれている。一方、タンパク質のユビキチン化および脱ユビキチン化は、タンパク質の翻訳後修飾の一つであり、細胞内で様々な役割を果たしているが、マイトファジーやオートファジーとの関連はほとんど知られていない。本研究の目的は、出芽酵母のマイトファジーの制御において、ユビキチン関連経路がどのように機能しているかを明らかにすることである。とりわけ、マイトファジーやオートファジーに働く脱ユビキチン化酵素に着目し、それらの分子機能の解明を目指した。
本年度の研究で、21種類の脱ユビキチン化酵素をコードする遺伝子を破壊し、蛍光顕微鏡およびウェスタン解析でマイトファジーを定量化するためのプローブを発現させた酵母株を作成した。これらの脱ユビキチン化酵素欠損細胞を長期の非発酵性培養条件下でマイトファジーを誘導し、ミトコンドリア分解を定量解析した。その結果、二つの脱ユビキチン化酵素欠損細胞のミトコンドリア分解が野生株の30-40%にマイトファジーが低下していることがわかった。一方、液胞酵素などの選択的オートファジーに依存した輸送経路は野生株と同様であることから、オートファジーの基本的な仕組みは大きな影響を受けていないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのデータから、マイトファジーが低下する脱ユビキチン化酵素欠損細胞において、小胞体やペルオキシソームなど、ミトコンドリア以外の細胞小器官の選択的オートファジー、非選択的なバルクオートファジーも抑制されていることがわかった。一方、液胞酵素などの選択的オートファジーに依存した輸送経路は野生株と同様であるが、この理由としては、分解基質を隔離する膜構造「オートファゴソーム」の大きさに注目している。すなわち、脱ユビキチン化酵素の機能が損なわれることで、細胞内の遊離ユビキチンプールが減少し、それが原因となって、細胞小器官の選択的オートファジーや非選択的バルクオートファジーで生じるオートファゴソームが適切なサイズに形成されていない可能性がある。
なお、21種類の脱ユビキチン化酵素の欠損株の一部は、長期の非発酵性培養で生育阻害の表現型を示したことから、顕微鏡観察を行い、細胞の状態やマイトファジーを調べた。その結果、死細胞が増加するタイムポイントを確認することができたため、マイトファジーの定量アッセイ系のタイムポイントを早め、最適化した。
このように、実験系を工夫することにより、脱ユビキチン化酵素欠損細胞の生育阻害の表現型による間接的な影響をできるだけ小さくしながら、マイトファジーを定量解析することが可能となっただけでなく、オートファゴソーム形成に脱ユビキチン化酵素の働きがリンクしているという興味深い知見が得られたことから、本研究計画は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で見出した二つの脱ユビキチン化酵素の欠損は、細胞内の遊離ユビキチンプールの減少を引き起こすことが知られている。この表現型は、脱ユビキチン化酵素の酵素活性に依存すると考えられる。
そこで今後は、細胞小器官の選択的オートファジーや非選択的バルクオートファジーに適切なレベルの遊離ユビキチンプールが重要かどうかを明らかにしてゆく。具体的な研究計画として、(1)脱ユビキチン化酵素欠損細胞でユビキチンを過剰発現させ、遊離ユビキチンプールのレベルを野生株と同様に回復させた場合、マイトファジーも回復するかどうか調べる。(2)脱ユビキチン化酵素の触媒部位に変異を導入した不活性化型変異体を作成し、染色体上の遺伝子座にノックインする。不活性化型変異タンパク質を発現した細胞について、遊離ユビキチンプールの減少を確認するとともに、マイトファジーを定量解析する。(3)脱ユビキチン化酵素以外のタンパク質の欠損によっても、遊離ユビキチンプールの減少が起こることが知られている。それらのタンパク質の欠損変異体を作成し、脱ユビキチン化酵素の働きが正常であることを確認するとともに、マイトファジーを定量解析する。(4)上記のマイトファジーアッセイに加えて、小胞体やペルオキシソームの分解、非選択的バルクオートファジーについても同様に、脱ユビキチン化酵素欠損細胞でのユビキチン過剰発現、脱ユビキチン化酵素不活性型変異、別タンパク質欠損による遊離ユビキチンプールの減少などがどのような影響をもたらすかどうか、明らかにする。
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[Journal Article] Selective autophagy of intracellular organelles: Recent research advances2021
Author(s)
Li Wen、He Pengcheng、Huang Yuge、Li Yi-Fang、Lu Jiahong、Li Min、Kurihara Hiroshi、Luo Zhuo、Meng Tian、Onishi Mashun、Ma Changle、Jiang Lei、Hu Yongquan、Gong Qing、Zhu Dongxing、Xu Yiming、Liu Rong、Liu Lei、Yi Cong、Zhu Yushan、Ma Ningfang、Okamoto Koji、Xie Zhiping、Liu Jinbao、He Rong-Rong、Feng Du
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Journal Title
Theranostics
Volume: 11
Pages: 222~256
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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