2019 Fiscal Year Annual Research Report
スチレンからのドミノ反応によるポリカーボネート合成
Project/Area Number |
19F19821
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西浦 正芳 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (30332258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XIONG GANG 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 希土類触媒 / 小分子活性化 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、希土類元素の特性や希土類金属とヘテロ原子とのユニークな相互作用特性を最大限に活用できる触媒を開発するとともに、それらを基盤として、従来では実現困難であった高効率・高選択的な有機合成反応やメタンなどの小分子の活性化反応などの開発を目指す。希土類元素は典型金属や他の遷移金属に見られないユニークな特徴を有する。例えば、安定な+3価の酸化状態やランタノイド収縮に起因するイオンサイズの変化、強いルイス酸性、酸素親和性などを有する一方、そのアルキル種やヒドリド種が適度な塩基性(C-H結合活性化能力)を有し、またC=C二重結合などの挿入に対して非常に高い反応性を示す。しかし高活性な希土類錯体の反応制御が通常非常に困難なため、その高いポテンシャルが化学合成に十分活用されなかった。これまでの研究において、シクロペンタジエニル基のようなモノアニオン性補助配位子を一つしか持たない希土類ジアルキル錯体が、多くの反応においてその特性を発揮し、極めてユニークな触媒活性を示すことを見いだした。また、このタイプの錯体の触媒活性や選択性が配位子の立体的・電子的性質や中心金属のイオンサイズの調節によって精密に制御することも可能である。本年度は、シクロペンタジエニル基以外のものも含め、立体的、電子的に異なる環境を提供できる、様々なモノアニオン性配位子をもつ一連の希土類ジアルキル錯体を合成し、構造解析をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、様々なモノアニオン性配位子をもつ一連の希土類ジアルキル錯体を合成したが、メタンなどの小分子の活性化反応の検討までには至っておらず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
希土類触媒による新規物質変換反応の開発においては、まずこれまでの実験結果を踏まえて、引き続き、中心金属や配位子を適切に組み合わせて、対応する様々な希土類ジアルキル錯体を合成し、これらを触媒として用いてメタンなどの小分子の活性化反応やスチレンと二酸化炭素からのポリカーボネート合成反応を開発する。
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