2020 Fiscal Year Annual Research Report
スチレンからのドミノ反応によるポリカーボネート合成
Project/Area Number |
19F19821
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西浦 正芳 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (30332258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XIONG GANG 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-11-08 – 2022-03-31
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Keywords | 希土類触媒 / 共重合反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究室では、希土類金属と酸素や硫黄などのヘテロ原子との特異な相互作用を活用した極性オレフィンと非極性オレフィンの共重合反応による機能性材料の開発を行っている。この高分子合成反応研究の一環として,希土類金属触媒を用いたエチレンとアニシル基を持つプロピレン類との共重合反応を行ったところ,得られた共重合体が自己修復性や形状記憶特性など特異な物性を発現することが明らかとなった。本研究では、自己修復ポリマーのさらなる高付加価値化を実現するため、耐熱性や発光特性を付与した機能性材料の開発を目指す。本年度は、蛍光発光特性を示すピレン基などを組み込んだプロピレンモノマーを設計・合成し、エチレンとアニシルプロピレンとの三元共重合を行った。その結果、1-数%程度ピレンユニットを有する共重合体が得られ、自己修復機能を示すだけではなく、溶液中で発光特性を示した。さらに、異なる発光特性を付与するため、テトラフェニルエチレン骨格を有するプロピレンモノマーの設計・合成を行った。ヒドロキシベンゾフェノンをアリル化し、高温でクライゼン転位を行い、アリルヒドロキシベンゾフェノンを合成した。続いて炭酸カリウムを用いてフェノールのメチル化を行い、ジフェニルメタンをリチオ化してカルボニル基に付加させ、パラトルエンスルホン酸により、脱水反応を行うことにより、テトラフェニルエチレン骨格を有するプロピレンモノマーが高収率で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、エチレンとアニシルプロピレンとピレンユニットを有するプロピレンとの三元共重合を達成したが、二酸化炭素を用いたポリカーボネート合成反応の検討までには至っておらず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
希土類触媒による新規物質変換反応の開発においては、まずこれまでの実験結果を踏まえて、中心金属や配位子を適切に組み合わせて、対応する様々な希土類ジアルキル錯体を合成し、これらを触媒として用いてエチレンと置換プロピレン類の三元共重合やスチレンと二酸化炭素からのポリカーボネート合成反応を開発する。
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