2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19GS0205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍵 裕之 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70233666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥地 拓生 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (40303599)
平井 寿子 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特任教授 (60218758)
近藤 忠 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20252223)
長壁 豊隆 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (80354900)
佐々木 重雄 岐阜大学, 工学部・機能材料工学科, 准教授 (30196159)
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Keywords | 中性子 / 高圧 / 水素 / ダイヤモンド / 地球惑星 |
Research Abstract |
昨年度に続き、極めて強固な新材料であるナノ多結晶ダイヤモンドを、高圧発生用のアンビルとして応用し、超高圧条件における中性子散乱実験を行うための技術開発を進めた。特に、今年度は近赤外レーザーを用いたナノ多結晶ダイヤモンドの加工法の開発と、表面状態の解析を進めた。その結果、単結晶ダイヤモンドでは結晶内での劈開によって加工表面がミクロンオーダーで粗くなるのに比較して、ナノ多結晶ダイヤモンドをレーザー加工した表面は極めて平滑であることが、電子顕微鏡による観察で明らかになった。また、ナノ多結晶ダイヤモンドの断熱性も、優れた加工特性につながっていることが明らかになった。ナノ多結晶ダイヤモンドを圧力発生材料として応用する場合は、ダイヤモンドを曲面状に加工し、テーパー面で加重を分散させる機構が不可欠である。平滑な曲面加工が可能となることによって、応力の集中を防ぎながら、アンビルの背面圧をサポートすることが可能になる。また、ナノ多結晶ダイヤモンドの内部に蓄積する応力分布を三次元的に可視化する手法も開発した。具体的には、顕微ラマン分光法による三次元イメージングによって、微小な残留応力に起因する振動数のシフトを観測する計測手法を開発した。本測定法を用い、加工前後のナノ多結晶ダイヤモンドの応力の有無を確認することができた。また、本技術の開発による副産物も見逃すことができない。本方法を地質学的な試料に適応したところ、日本列島に産する微小なダイヤモンド結晶の発見につながった。年度の後半には、本研究で確立したナノ多結晶ダイヤモンドの加工技術により、高圧発生用のアンビルを試作することができた。今後は、圧力発生実験を重ねて、中性子散乱測定に適用していく予定である。
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Research Products
(25 results)