2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19GS0219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 徹 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (20151970)
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Keywords | 弦理論 / 量子重力 / ブレーン世界 / 宇宙創生 / インフレーション宇宙 / 高次元ブラックホール |
Research Abstract |
今年度は8月3日-13日に60名程度が参加した合宿形式のサマースクールを富士吉田の人材研修センターで行なった。また、2月に城崎で3日間のミニワークショップを開催した。ポストドクター研究員は昨年に引き続きA.Flachiさんと藤博之さんを雇用したが、藤さんは9月から名古屋大学に特任講師として異動した。 1.江口はN=4の超共形代数の表現を調べ、解析数論で開発された手法を用いてハイパーケーラー多様体上にコンパクト化された弦理論のトポロジカルな性質を調べた。特に、K3局面の楕円種数に含まれる無限個のmassive表現の展開係数を決定した。 また、以下の論文を出版予定である。 (1)"Modular Forms and Elliptic Genera for ALE Spaces", Tohru Eguchi, Yuji Sugawara, and Anne Taormina, Advanced Studies in Pure mathematics 2009 (2)"Superconformal Algebras and Mock Theta Functions"Tohru Eguchi and Kazuhiro Hikami, Journal of Physics A, 2009 2.佐々木は、宇宙マイクロ波背景幅射に大きく反映する非ガウス的揺らぎを生成するインフレーション宇宙のシナリオ「マルチブリッド・インフレーション」を提案した。また、高次元でガウス・ボンネ項を持つ修正重力理論において、理論のパラメーターがある特殊な関係を満たすとき、回転するブラックホール解か存在することを示し、その厳密解を求めた。 3.杉本は、超弦理論を用いてバリオンの荷電半径、磁気モーメント、形状因子, 2核子間に働く核力などを計算し、観測事実をかなりうまく再現することを示した。 4.高次元の湾曲余剰次元模型の構築は、超弦理論が記述する宇宙を理解する上で緊急の課題となっている。白水は、そこで第一段階として6次元の模型を提案し、4次元宇宙で成り立つ有効理論の考察を行った。特に、曲率の高次補正の効果が無視できない可能性を指摘した。 5.高柳は、N=6超対称チャーンサイモンズ理論と4次元反ドジッター空間のAdS/CFT対応を用いて、ファジー球面のDブレーンが回転をするとトポロジーが変化してファジートーラスに変化することを見出した。これは、高次元ブラックホールが高速回転するとブラックストリングになる現象の理解に役立つと期待される。また分数量子ホール効果のAdS/CFT対応の模型を初めて構成した。 6.向山は、時空曲率と共形結合するブレーンインフレーションの理論を、観測から制限した。 また、宇宙論的摂動の非線形発展方程式の再定式化、QGP実験の状況に双対なブラックホール時空の構成、等をおこなった。
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Research Products
(43 results)