2008 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞系の統合的理解を目指した細胞接着・細胞骨格研究の新展開
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19GS0313
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
月田 早智子 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (00188517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 淳 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教 (00362525)
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Keywords | 細胞・組織 / 細胞接着 / 生体分子 / プロテオーム / 細胞膜 |
Research Abstract |
本学術創成研究では、体内の各部分を区画化することで、電解質や水・浸透圧のホメオスタシスの形成・維持の要となるとともに、不必要なものや毒物透過の隔壁となる上皮細胞シートの、選択的な物質透過性制御機構の「分子的基盤の新展開」について、生物物理学的および生理学的な手法を取り入れながら解明していくことが目的である。平成20年度では、以下の3点を目的に解析を行った。 1、先進的プロテオミクスにより同定した新規細胞間接着構成タンパク質による上皮細胞シートの形成とシートとしての特性の制御機構の解明 我々が幾重にも改良を重ねてきた肝臓高純度毛細胆管画分に対する、2次元電気泳動細胞間接着装置複合体濃縮スポットの解析から、複数の新規細胞間接着装置複合体構成蛋白質が同定された。これらのうち膜貫通蛋白質AI, Cats(仮称)については、ノックアウト(KO)マウスの作製がすみ、順次解析を行っている。AIはタイトジャンクションに、Catsはアドヘレンスジャンクションに局在する蛋白質であり、電気生理学的な測定からバリアー機能にも影響する可能性が示唆されている。細胞質側から細胞間接着装置にリンクする可溶性蛋白質であるX, Yについては培養細胞レベルでの実験から、これらが細胞や組織の形態形成に重要な働きを担うことを示唆する結果を得ている。Xについては、生体での機能解析を目指して、KOマウスの作製を開始している。 2、上皮細胞間バリアーによる上皮細胞シートの透過性や強度などの特性の制御機構の解明 細胞間バリアーの再構築については、ビオチンなど一般的な透過試験試薬での解析を進め、バリアー機能の機能的再構築系の困難に挑戦している。 3、上皮細胞アピカル膜からの上皮細胞の特性の制御機構の解明 中心体関連蛋白質Odf2のKOマウスの解析を進めている。またアクチンフィラメント系との観点から、細胞接着やアクチンの接着に関係するIQGAP3のKOマウスの解析を進めている。
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