2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞系の統合的理解を目指した細胞接着・細胞骨格研究の新展開
Project/Area Number |
19GS0313
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
月田 早智子 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (00188517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 淳 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教 (00362525)
山崎 裕自 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (80527664)
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Keywords | 細胞・組織 / 細胞間接着 / バリアー / プロテオーム / アドヘレンスジャンクション |
Research Abstract |
以下のように本研究課題において、主に三つの側面から目的とする進展が得られた。 1、先進的プロテオミクスにより同定された新規アドヘレンスジャンクション局在たんぱく質の解析 複数の新規アドヘレンスジャンクション(AJ)局在たんぱく質について解析を進めているが、その中で、AJに局在するGEFの制御因子TRIOBPについての解析を進めることができた。TRIOBPは、上皮細胞のシート構築において中心的な役割を担うE-カドヘリンの転写を制御する新規のシグナル伝達経路を統御することを示すことができた。このシグナル伝達経路は、発生やがん化などを制御するために重要であることから、さらなる解析を進めている。この他に、複数のAJ関連因子について、上皮細胞シート構築に関わる機能解析を行なっている。 2、上皮細胞間バリアーによる上皮細胞シートの透過性や強度などの特性の制御機構解明 本研究において、新しく構築した上皮細胞間バリアーの再構築系を用い、タイトジャンクション(TJ)上のクローディンの時空間的ダイナミクスを調べるため、FRAP解析、一分子解析を行った。これにより、TJは、予想以上に動的な構造であることがわかってきた。今後、TJのクローディンの種類による特性の違いを理解することをさらに目指す。 3、上皮細胞アピカル膜、細胞間接着部位の細胞膜を裏打ちするタンパク質による上皮細胞特性の制御機構解明 細胞間接着因子IQGAP3が時空間的に増殖制御因子Rasの活性を制御していることを報告したが、生体内において、IQGAP3がどのように時空間的制御を受けているかはほとんどわかっていなかった。我々は、再生肝モデルを用いて肝細胞増殖におけるIQGAP3の時空間的発現制御を調べ、IQGAP3が増殖と相関して厳密な発現制御を受けていることを明らかにし、論文に発表した。さらにプライマリーシリアの構築に関わる細胞骨格性タンパク質Odf2とともにIQGAP3のコンディショナルノックアウトマウスのヘテロを得ることに成功したため、個体解析を進めていく予定である。
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