2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死学の創成:非アポトーシス型細胞死を中心としたバイオロジー
Project/Area Number |
19GS0316
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 賀英 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (70132735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵口 豊 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20243206)
新沢 康英 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70403186)
渋谷 利治 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70448033)
浜田 義雄 基礎生物学研究所, 細胞社会学研究室, 助教 (10132739)
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Keywords | アポトーシス / ネクローシス / プログラム細胞死 / ミトコンドリア / 形態形成 / 細胞交代 |
Research Abstract |
哺乳動物における個体発生時の形態形成や組織での恒常性維持に関与するプログラム細胞死と病理的細胞死の分子機構の理解に向けて、哺乳動物細胞が有する複数の細胞死機構の解明を目指し、(1)アポトーシス、(2)非アポトーシス型細胞死と(3)マウス個体におけるプログラム細胞死の解析を行った。 アポトーシス研究としては、種々のアポトーシス刺激で惹起されたシグナルが如何にしてミトコンドリアが関与する経路に集約されるかを、特に酸化ストレスにより誘導されるアポトーシス系でシグナル伝達経路の解析を行い、過酸化水素処理をしたJurkat細胞を用いた系では、Bc1-2ファミリーメンバーの一つであるNoxaが、特に転写誘導とタンパク分解の抑制による顕著な蓄積を示し、細胞死に重要であることを示した。 非アポトーシス型細胞死機構の解析では、オートファジー依存的な細胞死機構の解析から、これまでに知られていなかった新しいオートファジー経路の存在を明らかにし、そのプロセスに関与する複数の因子を同定するとともに、オートファゴソーム膜がゴルジ膜やエンドソーム膜を起源していることを明らかにした。また、低酸素により誘導される非アポトーシス型細胞死系でも、そのシグナル伝達の詳細な解析を行い、ROS->p38->iPLA2βというシグナル伝達経路を明らかにした。 マウス個体を用いた解析では、特に発生期の形態形成(胎盤)と組織の恒常性維持(小腸上皮)に関わるプログラム細胞死系において解析を行い、ともに非アポトーシス型のプログラム細胞死機構が重要な役割を演じていることを明らかにした。小腸系では非アポトーシス型プログラム細胞死を含むプロセスを再現できる器官培養系の確立に成功し、さらにこのプログラム細胞死を抑制しうる化合物を同定した。このように、哺乳動物が有する複数の細胞死機構の解析において、順調かつ大きな進捗を果たした。
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