2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死学の創成:非アポトーシス型細胞死を中心としたバイオロジー
Project/Area Number |
19GS0316
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 賀英 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70132735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵口 豊 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20243214)
新沢 康永 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70403186)
渋谷 利治 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70448033)
浜田 義雄 基礎生物学研究所, 細胞社会学研究室, 助教 (10132739)
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Keywords | プログラム細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / 形態形成 / マウス / 個体発生 |
Research Abstract |
哺乳動物における個体発生時の形態形成や組織での恒常性維持に関与するプログラム細胞死と疾患に関わる病理的細胞死の分子機構の理解を念頭に、哺乳動物細胞が有する多様な細胞死機構の解明を目指し、マウス個体におけるプログラム細胞死の解析と幾つかの非アポトーシス型細胞死機構の解析を行った。 マウス個体を用いた解析では、特に発生期の形態形成と組織の恒常性維持に関わるプログラム細胞死の解析を行い、胎盤と小腸では非アポトーシス型のプログラム細胞死機構が主要な役割を演じていることを明らかにした。小腸系では細胞死を抑制する薬剤の同定に成功した。また、マウス個体内でアポトーシスと非アポトーシス型細胞死を個別に染色する方法を開発し、これを利用することで、胚発生期におけるこれら細胞死の空間的経時的記載を行うとともに、主に非アポトーシス型細胞死が起こる場所を複数特定することにも成功した。この中で骨形成時に見られるプログラム細胞死は一つのオートファジー関連因子の欠損により抑制されることを見出した。 培養細胞を利用した非アポトーシス型細胞死機構の解析では、(1)神経芽腫細胞株を神経様細胞に分化させた後、小胞体ストレスを誘導するベルフェルディンで処理すると新規の細胞死機構が活性化されること、またこの細胞死をNecrostatin-1など数種類の薬剤が効率よく抑制できること、しかしネクロプトーシスとは異なることなどを見出した。(2)マウス由来の肝初代培養細胞はアセトアミノフェン刺激で非アポトーシス型細胞死を起こすこと、またこの系では接着している細胞はほぼ同時期に死に至ことを観察し、細胞死シグナルが細胞間で共有されることを発見した。このように、哺乳動物が有する複数の細胞死機構の解析において、計画通り有用な成果を得た。
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