2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19GS0317
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野田 昌晴 基礎生物学研究所, 統合神経生命学研究部門, 教授 (60172798)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 生理学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1.TRPV1の浸透圧感受性が相乗的に増強されることを解明 これまで、トウガラシの辛味成分(カプサイシン)や熱、酸に応答して開口するチャンネル分子TRPV1の遺伝子欠損マウスが体液浸透圧の制御において異常を示すことが報告されていた。しかし、TRPV1が浸透圧感受性を示すことを直接的に示す証拠はなかった。我々は、TRPV1が体温付近の温度では浸透圧感受性を示すことを見出した。さらにその応答がカプサイシンや酸によっても相乗的に増強されることを明らかにした。 2.Na_xの細胞膜における安定化機構の解明 Na_xのカルボキシル(C)末端の配列が、PSD-95/Disc-large/ZO-1(PDZ)結合モチーフに合致すると推定されたことから、Na_xのC末端領域に結合するPDZタンパク質の同定を試みた。PDZアレイを用いてスクリーニングしたところ、synapse-associated protein97(SAP97)を含む複数の分子がNa_xに対する結合分子候補として同定された。その中でSAP97はSFOにおいてNa_xと共発現し、Na_xの細胞膜での安定化に寄与していることがわかった。 3.Na_xの活性化閾値を体液Na^+レベルの変動域に調整する機構の解明 体液のNa^+濃度は135~145mMに厳密に維持されている。Na_xチャネルが脳の体液Na^+濃度センサーであるとすれば、この生理的な範囲のNa^+濃度の変化を感知できるはずである。しかし、Na_xチャンネルは体外(in vitro)ではNa^+濃度が約150mMをこえてはじめて活性化する。今回、Na_xチャンネルの活性化の閾値は、体内(in vivo)では血圧制御ホルモンのひとつであるエンドセリン3により制御されており、生理的な範囲におけるNa^+濃度の上昇に応答できることを明らかにした。Na_xチャンネルの活性化閾値は、脱水状態に応じたエンドセリン3の発現により制御されていることもわかった。
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[Remarks] Nishihara, et al., PLoS ONE 6, e22246 (2011)の成果
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[Remarks] Hiyama, et al., Cell Metab., 17, 507-19 (2013)の成果