2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00001
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Principal Investigator |
菊地 絢子 共立女子大学, 文芸学部, 助手
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 物語絵 / 源氏絵 / 住吉派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世やまと絵の一派である住吉派の源氏絵について、定型図様の成立と展開を明らかにするものである。以下の3つを軸に研究を行った。 1. 作品調査、様式・図様分析を基盤とする近世初頭の源氏絵作例の体系的な整理 諸作例の図様分析から現段階で判ることは、以下3点である。(1)基準作であるサントリー美術館本・大英図書館本は、異なる図様系統持つ作例である、(2)Chester Beatty Library本・早稲田大学図書館本の扇面は、同一の図様系統を持つ作例であり54図中3図を除いて詳細まで図様が一致する、(3)基準作2作品と扇面2作品は、異なる図様系統である。一部作品調査で今年度完了できなかったものについては継続して努めたい。 2. 土佐派源氏絵と住吉派源氏絵の影響関係 室町期の源氏絵扇面画を起点に土佐光信・光吉・光則へと図様が継承されるなかで、絵師が図様の再発掘と再構成を繰り返してきたことは既に明らかであり、如慶源氏でも従来の源氏絵図様に加えて如慶独自の図様構成が散見される。 3. 近世初頭に注釈書を通じて共有される源氏解釈と図様形成 17世紀初頭に源氏絵制作された光則の源氏絵と、同時代の注釈書を通じて共有されていた源氏解釈との関わりを分析し、光則の新しい図様探求が江戸初期に進展する注釈書をひとつの柱として自らの源氏解釈を新たな図様に見出し再構成したものであることを立証した。本件に関する論文1件が刊行予定である(2021年2月)。
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